彼が召喚した少女は、とても可愛らしい。

一言でいえば、美少女。

長い漆黒の髪と、濃い茶色の瞳。
高い位置で髪をまとめているので、丸顔が目立ち幼く見えるが――――――

そうそうお目にかかれない、とびきりの美少女といっても過言ではない。

ただし、『一見』というおまけが必要だった。



「うわぁっ!?」

奇妙な悲鳴を上げて、マグナが自分のお尻を押えた。
そのマヌケな姿勢のまま振りかえると―――――後ろに立っていたのは件の美少女。
先日マグナが誤って召喚してしまった少女である。

「マグナってさ、良いお尻の形してるよねv」

楽しそうに微笑むさまは、本当に可愛らしいのだが………この微笑みがまた曲者でもある。

っ!」

人畜無害なふんわりとした微笑みをうかべ、愛らしい唇からとんでもない台詞が飛び出してくるのは
―――――――いつものことである。

現に今も、マグナが眉を寄せて『不快』と意思表示をしてみても、まったく動じてはいない。
それどころか、怒った表情を作るマグナにたいして、唇に指を当ててきょとんと首を傾げてみせた。
決して、マグナの言いたいことがわかっていないわけではない。
彼女は自分の容姿を十二分に理解している。
そういった可憐な所作で首を傾げてみせれば、大抵の男は彼女の言う事を聞く。
それをわかっていて、否、わかっているからこそ、彼女はそういった仕草を見せるのだ。

――――――実に性質が悪い。

悪いが……つい受け入れてしまうのは、惚れた弱みというやつだろう。
マグナは深くため息をはき、苦笑を浮かべた。

表情を和らげたマグナに、少女はにっこりと――――――

「でも、触り心地いいし……」

などと言ってのけた。
冗談とも本気ともとれる少女の一言に、マグナは一瞬だけ目を点にして、それから頬を上気させる。

「さわり心地が良くてもダメっ!」





本当に、このとんでもない少女のどこが良いのだろうか。

大声で笑うし、大股で廊下を走るし、踵落としはするは、回し蹴りは炸裂するは……
およそマグナの持つ『女の子』のカテゴリーに当てはまらない。

ころころと変わる、元気な笑顔は確かに可愛いけど。

1度だけ、養父にそう感想を漏らした時。

「……重症ですね」

養父は実に楽しそうに、笑いながら呟いた。







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 後書きの類似品。

 もしもの性格が違ったら、ってのがコンセプトな企画もの。
 書き手の混乱をさけるために、夢主の名前自体は漢字がカタカナで区別がついてますが……?
 ちなみに、設定自体は同じ。マグナはレイムの養子で、はマグナの護衛獣。
 ただし、展開はかなり変わってきますが(笑)
 マグナ側の護衛獣は+ハサハ、レシィ、バルレル、レオルドとそろいぶみ(笑) しょうがないので(?)トリスにはモナティがついてるはずです。の護衛獣はアルミネで。
 
 ……性格違うだけで、すいぶん引掻きまわされてます(苦笑)
 こっちは完全にマグナお相手(爆)

(2004.08.01UP)