「……好きよ。アイツがどう思っているかは知らないけどね」
長い沈黙の後。
意を決したように、ケイナが呟いた。
素直に認めるのが気恥ずかしいのか、ぷいっと目を反らして。
普段姉のように慕っている女性の、少女のよう仕草が可愛らしい。
「なによ?」
なんとなく幸せな気分になり、がにこにこと笑っていると、恥ずかしそうに横を向いていたケイナが唇を尖らせた。
それから何か思いついたらしく、悪戯っぽく笑ってと向き合う。
「……それで、。あなたはどうなの?」
「はい?」
まさかここで話が自分に向いてくるとは思わなかったがきょとんと瞬く。
「あ、あたしも知りたいです。それ!」
少し離れた所でハサハの髪を洗っていたアメルがお湯を掻き分けて、話に混ざってくる。
「ネスなんてどう? 口うるさいけど、アレで中々気が利くし、いると便利だよ?」
などと、ネスティ本人には多少気の毒な発言をして話に入ってくるのはトリス。
果たしてトリスはネスティの気持ちを考えた事があるのか。
多少疑問が残る。
普段は短剣や弓を駆使し、時には召還術を使い黒の旅団やはぐれ召還獣を退ける彼女たち。
それでも、やはり皆女の子。
こういった話――――他人の恋の話には興味があった。
が、本人には多少苦手な話題でもある。
助けを求めるようにハサハを見た。
アメルに髪を洗ってもらっていたハサハは、泡が怖くて目が開けられない。
困ったようにきゅっときつく目を閉じて首を傾げてつつ、アメルが自分の所に戻ってくるのを黙って待っている。
それではミニスは―――――と探すまでも無い。
好奇心旺盛な彼女。
しっかり話の輪の中に入っていた。
「ロッカかリューグなんて、どうですか? ロッカは優しくて頼りになるし、リューグも口はたしかに悪いけど、ロッカと同じぐらい優しいんですよ」
「マグナって手もあるでしょ。 なんたって、『ご主人様』なんだし?」
皆それぞれが、男性陣の魅力を語っているように見えるが―――――アメルとトリスは微妙に意味が違う。
兄妹のような関係を持つ彼らのうち誰かがを落とせば……家族になれる。
旅が終わった後も、ずっと一緒にいられる関係になれるのだ。
そうなれば、自分のものは自分の物。
兄の恋人は、自分の姉。
ある意味、死活問題ともいえる。
トリスとアメル。
少女2人の剣幕から逃げるように、は顔を半分お湯につけた。
(私の……好きな人、かぁ……?)
水面に視線を移し、しばし考える。
一瞬。
ほんの一瞬だけ、心に浮かんだ人物は――――――
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後書きの類似品。
心に浮かんだ人物は、誰なんでしょうね(苦笑)
まあ、人によってはマグナを思い浮かべたり、ルヴァイドを思い浮かべたり(こっちのが多そうだね)、さらにはハサハを思い浮かべたり……
ミニ劇場はルヴァイド氏がお相手多いですが、一応逆ハーって売り文句なので、ぼかしてあります。フォルテ以外なら、みんな可能性あり(笑) 適当に妄想してください(苦笑)
(2004.08.01UP)