「のことは、僕が守るからね」
きゅっと少女の手を握り、真摯な瞳を向けてくる少年。
少女はその視線を少しだけ嬉しく思い、申し訳なくも思う。
彼はまだ、自分の身長を越してすらいない。
つまり、年下。
年下の……それも逆に守りたくなってしまうような……一見少女にも見える少年に守ってもらう必要があるほど、自分はか弱くはない。
これがクラトスやゼロスほどの男であったなら―――――可憐な少女のように、言葉に甘えることもできるのだが。
「じゃあ、ミトスのことはあたしが守るから」
逆に手を握り返し、そう言う少女にミトスはむっと眉を寄せた。
『信用していない』と取られたのだろう。
ジーニアスもそうだが、なかなか難しい年頃らしい。
どう言えば、機嫌が直るのだろうか。
困惑ぎみに視線を泳がせる少女を上目使いに盗み見、ミトスはこっそりと笑う。
子供扱いは癪だが、こんな風に……少女の胸が自分のことで占められるのは嬉しくもある。
「は、僕が守るから。……約束」
繰り返される言葉に、少女の視線がミトスに戻る。
うやうやしく騎士の礼を真似、ミトスが少女の手の甲に口付けると――――――
「……んなこと、誰に教わったのよっ!?」
先ほどまで『子供扱い』をしてくれていた少女は頬を赤く染め、慌てて手を背中に隠した。
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