目の前にあるのは、懐かしい自分の家。
先ほどまではリィンバウムという世界で、仲間達と一緒に試練をうけていたのだが……
全て夢だったのだろうか。
呆然とドアを見つめ、自分の服装を見る。
あの日、リィンバウムに召喚された日に着ていたセーラー服。
左手には、勾玉の飾りのついたカバン。
左手には………
「お姉ちゃん、どうしたの?」
左手には、しっかりと握られた弟の手。
『なんでもない』と首を振ってから、弟と一緒に懐かしの我が家へと足を踏み入れた。
「ただいま」
っと台所にいる母と、新聞を読んでいる父に話しかければ。
「お帰り、」
新聞から顔をあげて、父親が顔を覗かせる。
「今日は早いね、お父さ――――――――んっ!?」
父の顔をみて、の動きが止まる。
目を丸くして驚いていると、父は何かおかしなことでもあったのか? と紫紺の髪を揺らして首をかしげる。
「お母さんっ! どうしてルヴァイドさんが『お父さん』なのっ!? それとも、私のお父さんは『ルヴァイドさん』だったの??」
だいぶ混乱しているらしい。
慌てて台所に駆け込むと、母が濡れた手をエプロンでふきながらに向き直る。
「さん、『お父さん』は元からお父さんですよ?」
ほわほわ〜っとしたのん気な声音に、うっかり納得しそうになってしまうが……
「なんで、アメルさんが『お母さん』なのっ!?」
そう、いかにも奥様。
そんな雰囲気をもって台所にたっていたのは、豊穣の天使アルミネことアメルだった。
思わず指をさして確認する。
その手がそっと握られた。
「人を指さしちゃいけないよ?」
いつのまに来たのか、優しい微笑みを浮かべたロッカがすぐ隣に立っている。
「が帰ってきたのか?」っと階段を降りてくるのはイオスの声。
「「ただいま〜」」と声を揃えて帰って来たらしいマグナとトリス。
「夕食の前に宿題をすませておけ」と双子に釘をさすネスティの声。
「アメルさんや、飯はまだかいの〜」っと似合わない老人語(違)で爽やかスマイルのレイム。
「おいジジィ、おめぇだけ先に、さっき食っただろう」っとレイムを蹴ろうとして逆に蹴り倒されるバルレル。
「お姉ちゃん、おかえりなさい」とハサハとレシィが手を繋いで居間から走りより。
「おかえりなさい、ちゃん」っとケイナとカイナがイオスに遅れて階段を降りてきた。
そしてあとから後から現れる、兄・姉・弟・妹……
いったい何がどうなっているのか。
混乱したままの頭で、まさか弟も……と恐る恐る下を見れば……
「なに見てんだよ」
っと少し恥ずかしそうにランドセルを背負ったリューグが見つめ返してきた。
でも、一番驚いたのはコレだと思う。
「我ガ主人ヨ、散歩ノ時間ダ……」
そう言って、散歩紐をさしだすゼルフィルド。
その首には当然―――――――――
首輪があった。
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後書きの類似品。
ゼルフィルドのオチのためだけに書かれた一品(待て)
ここで少しだけ、には弟が居ることが判明しております(弟のアレな性格については『ぼやき日記』参照) この時点では……普通の少年のもようです(爆笑)
読んでわかるとおり…ドラマCDネタの、バージョンです。
それにしても……ある意味凄い家族更正だなぁ。 あ、レオルドがいない(笑)
ポイントとしては『レイムを蹴ろうとして逆に蹴り倒されるバルレル』でしょうか。バルレルが負けています。
(2004.04.18.UP)