抱きしめた温もり |
夢の中…………。
出てきたのは彼女の両親だった。夢の中らしく朧気ではかなく、でも何故か、両親だと言い切れた。
「待って!!」
急いで追いかける。でも、彼女の小さい足で一生懸命走っても、その影は遠ざかっていくばかり。
「待ってよ……、お願いだから…………」
「あ…………」
段々明けて来た朝日の光が彼女の瞼を開かせる。
彼女が番人になって始めての旅。一人きりの部屋で彼女は目が醒めた。
「ソール様」
そう、呟いた彼女に、ソールは近づき、抱きしめる。
『おはようございます』
彼女を抱きしめ、ソールが指で挨拶する。だが、今の彼女には……。
「ぅっく……」
耐えられない温もりだった。ソールに抱きしめられ、彼の服を濡らす。
『大丈夫……ですか?』
どうしたら言いか分からずに、ソールはただ、彼女のなすがままになっていた。が、優しく彼女を抱きしめた。
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