S極 N極 |
「無いな」
風の番人、彼女の問に、ソールは端的に答えを返した。
「そうなのですか?」
「ああ、姿は同じだがな。共通するものなんか無い」
まだ納得出来ないように、していた彼女に、ソールは言う。
ふと彼女が思った二人のソールの共通点。それを、尋ねた結果がこれだった。
「違う所は幾つもあるがな」
「じゃあ……」
そう言って、彼女はポケットの中を探る。
「まるでこれみたいですね」
そう言って、道に迷わないように方位を調べる磁石を彼女は取り出した。
「何でだ?」
彼女の言った意味が分からず、ソールが問い掛ける。
「だって、S極とN極二つの違うもの同士ですから」
そう言った彼女に、ソールは「勘弁してくれ」と答えた。
「どうしてです?」
「おれとあいつがS極とN極なら、俺達は引き合ってるって事になるだろうが」
そう言った、ソールの言葉に、彼女は笑った。
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