甘くてフワフワするもの |
多分、旅に出てからは初めて目にする上に、口にするのも久しぶりだと思う。
まあ、できるだけ無駄な出費をしないようにとしているのだから、こういったものは欲しがっても、頼んだりはしなかった。
が、今日はお店からの善意なのである。我慢する必要はどこにも無かった。
先のほうにフォークを入れ切り取る。そして、フォークで刺し、口の中に放り込んだ。
「ん〜〜〜〜〜〜…………」
嬉しそうに頬を緩ませて、彼女は言葉にならない喜びをかみ締めた。
「何が、そんなにいいんだ?」
「あ、す、すみません」
さっきまでの喜び一変、今度は恥ずかしさで頬を真っ赤に染めた。
「別にかまわんさ。それよりそんなにいいのか?そのフワフワしたのは」
「はい、ソール様も召し上がりますか?」
そう言って、彼女は先ほど同様、切り取り、フォークで刺すとソールの口に運んだ。
「……………………ぁ、甘いな」
そういって、テーブルの上に頬杖をつきながら言った。
一瞬、彼女はソールが気に入らなかったのではないのか。と思ったりしたが、どうも様子がおかしい。
チラリと盗み見るように、それを見ていた。
「……あの、半分差し上げましょうか?」
「……お前がもらったんだ。それは悪いだろ」
「いいんですよ。ソール様が喜んでくださるなら」
そう言って彼女はケーキを切り分けると、ソールの口にフォークを運んだ。
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