Time is ………………. |
どれ位時間が流れただろう。廃墟になった家が焼失して、泉に変わったのは。
「まさかな……」
冷たい水に本体を晒しながら(まあ、水の中に本体があるのだから、仕方ないが)、ソールが呟く。
「人間の女に、思い知らされるとはな……」
家を焼かれた事じゃない。あれは、レヴィローズにやられた事だ。
人間の女、ジャスティーンに言われた言葉が、痛いほど響く。
『これはあたしたちの我儘よ……。でも、生きてほしいの』
「本当に……我儘だろ」
とはいえ、前ほどの嫌な感じはしなかった。最後の最後の、彼女の命を賭けた我儘。それは、風の宝玉であるソールではなく、ソール自身に生きて欲しいと願った事……。
もし、自分が、彼女を選んだら、違う道の上を歩いていたのかもしれない。でも…………。
「まあ、いいさ」
そう呟くと、ソールは瞳を閉じる。。
「お前の我儘に、付きやってやるよ」
今は影も形もない彼女に向かって呟く。その時、涼しげな風が泉を撫でていった。
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