『昔話』



 勉強の合間。
 息抜きのティータイムに聞いた昔話に、が感想をもらす。

「ご主人様って、けっこう……ルヴァイドさんにべったりですよね」

 の何気ない呟きに、マグナの養父は柳眉を寄せて顔をしかめる。
 普段は柔らかく微笑むレイムの珍しい姿に、は驚いた。

「だから私は、あの男が嫌いなんですよ」

 迷いのない一言。
 きっぱりと言い捨てられた言葉に、が瞬く。

「……あの」

 それから聞いてはいけないことだったのだろうか? っと不安げに眉を寄せる少女にレイムは苦笑を浮かべる。

「昔から『兄さん、兄さん』っと後ろをついて回っていましたよ。『ルヴァイド』と呼び出したのは、ここ2・3年のことです。そうですね……特務隊長が来た頃でしょうか」

 養父は少しだけ懐かしそうに目を細めた。


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