『ピンク』
「あ、ピンク」
隣の少年が空を見上げて呟く。
何のことかと視線をおえば……少年の幼馴染が木の上から手を振っている。
少女自身はソレに気がついていないのか、海からふく穏やかな風に、時々短いスカートの裾が踊っていた。
当然、スカートが揺れるたびにその奥―――――平たく言えば、ピンク色の下着がちらちらと見えていた。
「……ガキ」
ぽつりと一言。
それから『これと似たような会話を、どこかで聞いた』と思い出し、眉を寄せて考える。
「……『白き魔女』のジュリクリか」
「んんっ? 何か言った?」
知らずもれた独り言に、隣の少年……フォルトが不思議そうに首をかしげた。
『日本』にはない不思議な髪の色が風に揺れる。
「フォルちゃ〜ん! 兄ちゃんも、おいでよ! とっても気持ちいいのぅ」
パタパタと手を振って、ウーナが2人を呼んでいた。
(……すっかり懐かれた気がする……)
突然ヴェルトルーナで目覚めた時にはどうなることかと思ったが。
案外うまくやれている……と思う。
「行こう、兄ちゃん」
くいくいっとフォルトがの腕をひぱった。
ガガーブ暦942年。
フォルト達がレオーネの軌跡をおい、ヴェルトルーナを旅するのは約1年後である。
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