いつもの朝
一緒に眠るククールが目覚める少し前にエイトは目を覚ます。
幼い頃はいつもククールが先に目覚めエイトを起こしていた。
先に目覚めるようになったのはいつからだろう。
いつの頃からか自然にそうなっていた。
そっと目を開けるとまだ眠りの最中なククールの横顔。
抱きしめた全身から感じる温もり。規則正しい呼吸音。
エイトはほんの少し離れていた体を寄せて、もう1度目を閉じた。

暫くして、傍らの彼が目覚めた気配。
シーツがめくられ、ひやりとした風が肩に触れる。
「エイトー、朝だぞ」
くしゃくしゃと頭を撫でられる。
「んん…もう朝…?」
「朝ですよー」
もう一度頭を撫でられた後、寝台のスプリングが軋み傍らの温もりが離れてゆく。
それからエイトも身を起こす。
「たまには俺より早く起きろって」
「……」
本当は起きている。けれど、その事は言わない。
「嫌だよ。本当はもっと寝ていたいのにさ。今もねむい…ねるー…」
そう言うと寝台から引っ張り下ろされる。
「はやく着替えて行くぞ。兄貴待ってるだろ」


いつもの朝。変わらない朝
どうかこのままの穏やかな時間が続きますように…。




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