「僕は世界で一番ククールが大好きだよ」
あの言葉は嘘だったのか?

最近のエイトは俺の兄、マルチェロとばかり会って話しているようだ。
そりゃー、今の俺は愛の結晶をこの身に宿していて
デートも出来ない状態ですよ。
だけど原因の半分はお前だろう?たった1度で妊娠ってありえない。
竜神族の類稀なる生殖能力を俺は身を持って知ったってわけだ。
「ククール!」
元凶が笑顔で帰ってきた。
何でそんなに笑顔なんだ。兄貴と一緒で楽しかったのか?
「兄貴と何話してたんだ?」
「えっ?」
不満を隠しもしない口調にもエイトはきょとんとした顔で。
それから…笑い出しやがった!
「おい!何がおかしいんだよ!」
「え?…あぁ、それはね」
と、タイミングよく盛大な音と共に扉が大きく開かれる。
そこに光り輝くデコを持って現れたのは今しがた話した兄。
眩しさにククールは思わず目を細めた。
「兄貴?」
「待たせたな。ようやく出来たぞ」
話が見えないんですけど。
固まる俺の頭上にふわりと何かが被せられた。
「…これって…」
それは真っ白な花嫁のヴェール
「いきなり妊娠させちゃって式もロクに挙げられなかっただろう。
 だからお兄さんと相談して…ね」
悪戯が成功したような子供の笑顔でエイトは俺の手を握る。
「2人とも何をしている。式場も既にとってあるのだから行くぞ」
マルチェロは急ぎ足で今入ってきたばかりの扉の外へ。
「ええっ!?今から!?」
何言ってっるんだ兄貴!?
「安心してククール!ドレスはちゃんと妊婦用サイズだからv」
呆気にとられる俺をエイトはひょいと抱え上げる。
「こら!おろせー!」
「妊婦さんなんだから暴れないでよ。マルチェロさん案内お願いしまーす」




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