いつもは二人が目を覚ます前に姿を消しているククール
(一応、気を遣っているつもりらしい)
だがさすがに今日は朝日が昇りきっても熟睡のままぴくりとも動かない。
「あれだけやられれば仕方がないか…」
と、口に出してしまえば昨夜のあんなことやこんなことを思い出してしまい
マルチェロはM字のキワまで顔を赤らめる。

「おはよー、あれ?ククールはまだ寝てるんだ」
原因である男は本当にお前がやったのかと問いたくなる程元気だ。
「おはよう、エイト殿」
「御飯も作っておいたよ。足腰たたないでしょ?持ってきてあげる」
「心配には及ばん」
正直な所、全身(特に腰あたり)の事後特有の気だるさに
このまま横になってしまいたいのだが
病気でもないのに寝室で食事をとるというだらしのない行動は耐え難い。
「あ、本当に起きれるんだ。あれくらいなら平気なんだね。
 じゃあ今夜はもっとしようね!」
「それは勘弁してくれないか…?」
居間へと向かう足取りの中での
エイトの無邪気で本気な発言にマルチェロは弱々しくストップをかける。
「それよりもエイト殿、昨晩の件だが私とククールは本当に何もしていな」
「分かってるよ」
「え…?」
座席につかせたマルチェロの前に温めた味噌汁を置く。
「エイト殿?」
既に食事を終えていたらしいエイトはお茶を手に隣の席へと座った。
「ククールが僕との約束、破る筈ないし
 マルチェロだってそれに乗るようなことはしないだろ?
 それくらい分かってるよ」
「では何故昨夜…!!」
「そういうシチュエーションも燃えるかなって思ったから。
 それだけだよ。いじめてごめんね」
悪びれもせずに言い放つと
呆気にとられ軽く開いたままのその口唇に己のそれを被せる。
「もうしないから、ね?」
「そうしてくれ…」
文句の一つも言いたい所だが結局ほだされてしまう。
どうしたって旦那さまに敵わないマルチェロなのであった。




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