再婚して、4人目が出来ただけでも本当に満足していた。
その後はまた俺の不安定っぷりが原因で喧嘩を重ねたけれど。


「別れなければもっとデートもできたし子供だってもっと…女の子も欲しかったし」
それができなかったのは自分のせいだ。
一人で先走って10年以上逃げ出した自分のせい。
それなのにどうして俺はこうして彼にあたってしまうのか…。
「ずっと別れる事なく付き合い続けているご夫婦を見ると
 そう思ってしまうのも仕方ないですよね。ですが」
彼の口調はいつも通りのもの。
どんなに興奮していても、すうっと心の奥まで浸透していく穏やかな声
大好きな声
「離れた時間で学べたものも多くあったと思いますよ。あなたも、私も」
同じくらい大好きなその手がククールの身体を包み込む。
「傍から見れば遠回りでも、そこに無駄な時間なんてなかった
 私はそう思っています」
「王様っ…」



そうして今、新たな命がこの身体に宿っている。
不思議と子供が出来ると俺の心は波立つことがなくなる。
正確には落ち着いて王様を見る事が出来るようになれば
子供が出来るのかもしれない。
だから…なのかも。
まさかこんな時期になって授かるとは思わなかった。
きっと二人の最後の子。
贅沢を言えば女の子が欲しいな…なんて思うけれど
元気で産まれてくれればそれでいい。
愛しい我が子。今度はどんな名前をつけてあげようか?



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