「エイト、エイト!」
振り返ると手に大きな箱を抱えたククールが駆け寄ってきた。
「ククール」
エイトが立ち止まっても走る事をやめず、
息をきらしながら笑顔ではい、とその手の箱をエイトに渡す。
ピンクのリボンでラッピングされたその箱を渡されるのは初めてではない。
「最近何かあった?」
「何かって?」
「僕によくプレゼントくれるから」
ククールは少し困ったように笑う。
少し視線を左上にそらすこの笑い方は困った時の笑い方だ。
「…おかしいか?」
「おかしくないけど他の皆にはあげてないみたいだし、
 どうして僕だけなのかなって思ったんだよ」
「わからないか?」
「…戦闘中の回復呪文のこと?でもそれだったら
 ククールの方がよっぽど皆に…」
「違うって。ちーがーう。エイトくんはお子様ですね」
エイトは少しムッとした表情でじゃあ何?と聞き返す。
ククールはごほん、と咳払いをして深呼吸をひとつ。
それからさまよわせていたその視線をエイトに向けた。
「俺はエイトのことが好きなんですよ。
 だからプレゼントもあげたいしそれを口実に傍にもいたいってわけだ」
口調は軽いがその頬はほんのりと赤い。
「そうなんだ」
「そうなんだってお前それだけか、よ…?」
最後の言葉は口付けを仕掛けてきた相手の口内へと吸い込まれていった。
「っ…!?」
「ありがとう。僕もね、ククールのことが好き」
動揺を隠せなず口元をおさえるククールとは対照的に
やっぱりエイトの表情は余裕たっぷりなそのままで。
だがその頬はククールと同じように色づいていた。
「こーゆー事の前にそう言えよ。いきなりは…心の準備ってもんがあるだろ?」
「ごめんね。僕はお子様だから言葉より先に手が出るみたいなんだ」



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