ルヴィア嬢短編劇場 エロチック その2

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地下室の夜

 真夜中、寝静まった館をひとり地下室へ歩くときほど、胸が締め付けられる時間はありません。全裸にバスローブを羽織っただけの格好を、使用人達に見られたらどうしましょう。いくら忍び足でも微かな音はしてしまいます。小さな音が耳に入る度に、私の心臓は破裂の恐怖におびえるのです。

 地下室ではシェロが待っています。今夜はミス・トオサカもいるかもしれません。石造りの部屋は暗く、じめじめしていて、淫らな宴にはぴったりの空間でしす。生け贄となるのはもちろん私。今宵も思う存分もてあそばれるのでしょう。

 それでも先へ進まないわけにはまいりません。約束の時間に少しでも遅れたときのひどい仕打ちの記憶は、思い出すことさえためらわれます。たとえ皆にはしたない娘と知られようとも、泣きながら走りたくなる夜すらあるほどなのです。

 ああ、どうして、このような事になってしまったのでしょうか。

 はじめ、シェロはとても優しく抱いてくれました。処女を捧げた日など、それはもう細心の注意を払って、私に夢のひとときを与えてくれたのです。しかし私は愚かでした。いつまでたっても壊れ物を扱うかのようなシェロの振る舞いに、いつしか不満を覚えてしまったのですから。

 もう少し乱暴にして下さいとお願いするのは恥ずかしかったですが、その報酬は望んだ以上のものでした。痛みを伴うほどの激しい快楽は、まさに新しい世界そのものでしたから。調子に乗った私に引きずられていくうちに、シェロもだんだんその気になっていきました。何かが変わってしまったのは、ミス・トオサカがまじりはじめた頃からでしょうか。いつのまにか私の方が引きずられるようになり、行為はどこまでもエスカレートしていったのです。

 それから先は、震えるばかりの恐ろしい毎日でした。地下室では服を着ることさえ許されず、手錠や目隠し、首輪などは日常茶飯事です。振動する張り型を前や後ろに入れられたことも、数えきれないほどありました。

 ある日のことでした。私の口をシェロの男根が犯しているのを、ミス・トオサカが目を細めて見ていました。その日は何時間たっても一度も入れてもらえず、延々と奉仕を続けさせられていましたので、私の身体は飛び散った白濁液でドロドロでした。疲労で顎が上手く動かせませんでしたけれど、シェロのためと涙ながらに口を動かしていたのです。ミス・トオサカから痛いほどの視線を感じながら。

 ようやくシェロが入れてくれるとおっしゃったとき、あろうことかミス・トオサカが割り込んできました。今度は自分の番ではないか、と。シェロはあっさりとうなずき、そのまま彼女の中に突き入れました。私が呆然としてしまったのも無理はないと思います。精液まみれとなってまで奉仕した私ではなく、見ていただけのミス・トオサカに褒美が与えられたのですから。結局私の番がまわってくるまで、ミス・トオサカの痴態を目の前に、更にしばらく待たなければいけなかったのでした。

 また別の日は、鏡の前で脚を開いて自慰をするようにといわれました。もちろんそんな行為は到底出来ません。別のことをするから許してほしいと必死に頼み込んでも、シェロは聞いてくれませんでした。仕方がないので恐る恐る脚を開きましたが、その恥ずかしさだけで泣いてしまいました。まるで幼子のように泣いたと憶えています。

 しかしそれを見たシェロは、突然私の身体を抱え、パシンパシンとお尻を叩き出したのでした。余りの痛さにますます泣き喚きましたのに、シェロの折檻はいっそう強くなるばかりです。最後には許しを乞い、顔から火の出る想いで自慰をいたしました。

 ところが、それが終わるとどうしたことか、シェロは急に優しくなったのです。ゆっくりと丁寧に全身を愛撫してくれて、そのまま、以前のように大切なものを扱うかのように抱いてくれました。私の好みにあわせて、少し強い程度に。

 こんな日もありました。どこから調達してきたのか、大量の媚薬で満たされたプールに沈められた私は、すっかり敏感になっていました。そんな私の四肢を拘束したシェロは、彼がローターと呼んでいた振動するカプセルを取り出しました。それを前と後ろの両方の穴に、いくつもいくつも挿入され、私の内部で振動させはじめたのです。

 余りの快楽に私の身体は勝手に反り返り、プールの中をのたうち回ってしまいました。媚薬の水深は浅かったのですが、それでも溺れそうになるほどでした。今までに感じたことのない大量の刺激に、危うく気が狂うところでした。もしもシェロがずっとそばについていてくれなかったら、本当にそうなっていたかも知れません。ですがむしろ彼がいてくれたおかげで、終わった後、胸に不思議な暖かさを感じてしまったのです。

 私は何故、地下室に向かっているのでしょうか。どんな目に遭うかは身に染みているはずですのに。涙をぽろぽろ流すはめになると分かりきっていますのに。もしかしたら本当に、私はこの行為の虜になってしまったのかもしれません。そんなことを認めてしまうのは恐いけれど、恥ずかしながら、すでに私の秘所がじんわりと湿っているのは、まぎれもない事実でしょうから。

桜の季節

 ふすまの隙間からのぞき見た世界は、桜の予想を遥かに超えて甘く、濁っていた。

 理解した瞬間、とろけてしまうかと思った。力の入らない足で床を踏み締めて、倒れ込まないよう必死で耐えた。頭の中がぐつぐつと沸騰して、過剰な熱は出口を求めて暴走する。

 それなのに視線を外せない。顔を背けるという選択肢はとうの昔に消滅していた。その、あまりの淫欲にまみれた一室は、間桐桜をこの上なく魅了してしまったのである。酒池肉林。そこには桃源郷の欠片があった。

 それらは逞しい肉体に絡み付いていた。蛇のような、それでいて白桃を連想させる3つのナニカは、乾いた喉を潤すように、士郎という存在を渇望している。それは樹液に集う虫達に似ていた。

 裸である。裸の響宴。誰も彼もが一糸まとわず、その肢体を惜し気もなく晒している。

 士郎の唇をついばむ凛。胸板にすりより汗の味を確かめるセイバー。そして、彼女の名はなんといったか。彼の男性自身を眼前にして、恐る恐る手を伸ばしては微かに撫でる少女の名前は。オレンジがかった金髪を揺らすあのシルエットは。

 桜は確かに彼女を紹介されていた。留学先のロンドンから里帰りについてきた女性。高貴な匂いを自然に着こなし、それでいて身近に感じることができるその人柄。まだ二人が出会って数日しか経ってなかったが、桜は友情を感じずにはいられなかった。きっと、どことなく凛に似ていたからであろう。

 彼女、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトは何をしているのか。痛いほどに充血したそれを前にして、そっと触り、少し撫でる。明らかになれていないその動作。しかし彼女の顔を見れば分かるように、溢れるほどの愛情をもって行われているようだった。同じほどの羞恥も同居しているようではあったが。

 桜が嫉妬を感じないはずがない。士郎の恋人は凛であったはずである。そうだったからこそあきらめもついた。そのはずであった。それなのに、目の前では何が行われているか。セイバーもルヴィアゼリッタも、士郎を求めて存分に蠢いているではないか。なぜ、間桐桜があそこに参加してはいないのか。

 凛に何かをいわれたようだ。ルヴィアゼリッタがおずおずと顔を近付ける。その隣にセイバーが移動する。士郎の男根は更に膨張し、今や怒張と表現するにふさわしかった。それに傅く二人の美少女。桜はごくりと喉をならした。

 色合いの違う金の髪が、月影を受けて暗闇で輝く。二人の白い尻がふりふりと揺れ、柔らかな曲線が女を主張する。まるで雌犬のような有り様に、桜の嗜虐心が鎌首をもたげた。見下ろして唇を綻ばせる凛の気持ちに、今は心から賛同した。

 セイバーはそれなりに手慣れているようであった。裏筋を舐め上げ、先端を咥える。音を立てて吸い上げ、手も使いながら更に責め立てる。時に控えめに、時に大胆に。そしてある程度士郎をその気にさせると、今度はじらすかのように軽いキスの雨を降らせるのだった。

 すぐ横でそれを見たルヴィアゼリッタは、勇気を出して舌をのばすものの、ちょっと触れるだけで精一杯といった様子である。ちろちろとほんの少し舐めるだけでは、とてもではないがセイバーにはかなわない。すがるように士郎を見上げても、彼は凛との口付けに忙しいようであった。

 桜は思う。何故そこで一気に頬張らないのかと。目の前に極上の餌があるのに、何を戸惑っているのかと。今士郎と絡む三人の中では、ルヴィアゼリッタの立場が一番近いと感じられた。しかし桜とルヴィアゼリッタの間には、経験に天地の開きがある。それがもどかしくてたまらない。

 セイバーの動きが一段と激しくなり、恍惚とした表情が見えてくる。愛おしそうに、そして自身も気持ちよさそうにしゃぶるセイバー。肉棒のほぼ全てを彼女に占領されたルヴィアゼリッタは、何かを決心したように口をひらいた。

 いきなさい。桜は知らず手に汗を握る。セイバーもルヴィアゼリッタに場所を譲る。一瞬の戸惑いはあったものの、凛に視線で促されて、士郎に頭を撫でられて、かぷっと思いきって咥えることに成功したのであった。

 ふすまを隔て、桜は祝福の微笑みを投げかける。この時、なぜか嫉妬は余りなかった。彼女に自身を投影していたのかもしれない。子供を見守る母親のような気持ちだったのかもしれない。それが本当に正しいのかは、桜本人にも分からなかったけれど。

 ルヴィアゼリッタは咥えたまま動かなかった。否、動けなかったのであろう。何をどうしたらいいのか分からずに、混乱したまま思考停止しているようであった。

 小首をかしげて涙を浮かべる少女は可憐で、清く儚い印象を与えた。女性の桜でさえそう見えたのである。はたして士郎は一体どう思ったか。男とはそんな少女にくわえられたままで、我慢できる生き物なのだろうか?

 士郎はルヴィアゼリッタの頭をつかんで固定し、己が腰をふりはじめる。突然のことにわけも分からず、目を見張るだけのルヴィアゼリッタ。士郎のサイズでは、喉まで届くのは確実である。整った顔は苦しげに歪み、時々背中を大きく震えさせていた。

 口での奉仕を強制され、ルヴィアゼリッタは何を思うのか。それは桜には分からない。分からないから固唾をのんで見守っていた。他の二人も同様だった様である。

 動きにあわせて揺れる乳房。波打つ美しい橙の髪。細い腰は逃げ場を探すように動かされ、しかしそれは男を誘う踊りに似ていた。

 気がついてみれば、桜の片手は自身の秘所にのびていた。じんわりと湿って温かい。もう片方で乳房をこねまわして、桜は興奮の海で酔いしれる。

 涙を流しながらも健気に耐えるルヴィアゼリッタ。もがきながらもどこか幸せそうな表情をみせる瞳。桜にそれは理解できない。好きな人に自分の体で快楽を感じてもらうその気持ちは、未だ体験したことのないものだった。

 うらやましい。桜は素直にそう感じた。士郎の動きは一段と速くなり、射精の気配を濃厚に示している。あのまま口の中に出すのだろうか。士郎のそれは、どんな味がするのだろうか。ごくり、桜の喉が大きく鳴った。

 そしてそのときがやってきた。士郎の腰が止まり、ルヴィアゼリッタも静止する。痛いほどの静寂。永遠に思える一瞬の静止。そしてついに、誰かが何かを嚥下した気配があった。

 ルヴィアゼリッタの瞳が見開かれ、涙が後から後から流れ落ちた。いやいやと体をよじり、少しでも早く士郎から逃れようとする。彼女には少々刺激が強すぎたのだろうか。

 離れる唇と陰茎。その間にかかる液体の橋がエロティックだ。崩れ落ちるルヴィアゼリッタを眺めていた桜だったが、ふと、誰かの視線を感じた。

 士郎だ。桜にとって憧れの先輩。もうずっと前からの想い人。とがめもせず、何故覗いていたのかを理解しようと試みるその瞳は、彼女がずっと前から好きだった人のものだった。

 おいで、と彼が言った気がした。いいのですか、と視線で問う。はたして、士郎は確かに頷いた。あとはふすまを開ければあの世界に交ざれる。それは、桜にとって願ってもないことだった。

 それでも桜は躊躇した。彼女の身体は汚れている。少なくとも本人はそう考えていた。自分の淫乱さは、士郎にだけは知られずにいたかった。望む心と静止する理性が、激しい論戦を繰り広げていた。

 しゃくりあげる声が聞こえる。声の主が士郎に絡み付く。逞しい胸板にすり寄り、太い腕に抱き締めてもらう。確認するまでもない。ルヴィアゼリッタだった。童女のように甘える彼女をあやしながら、士郎はもう一度桜に目をやった。もう桜も迷わなかった。あの3人とともに、士郎とともに快楽に溺れよう。

 そして桜は、静かにふすまを開けて――

 鳥たちの声が聞こえる。少し寒い。士郎の布団は、この人数では狭すぎた。それでも、と桜は思う。幾千もの夜をこえてきたけれど、闇がこんなに温かいなんて、初めて知った。獣欲の優しさなんて考えもしなかった。

 下腹部に感じる温もり。それを愛しげに撫でながら、桜は隣で眠る士郎に寄り添った。起きる時間までまだ少しある。今は、この幸せを噛み締めていたかった。

夜の縁側

 湯上がりの肌を夜風が灼いた。土砂降りのような虫の音に包まれて、士郎は白銀の天体を仰ぎ見た。あまりにも見事な満月は、いつ落ちてきてもおかしくないほど大きかった。古に曰く、世界の終わりである。

「……ん、ぁぁぁ」

 酔っていた。粘性の欲望はとどめなくあふれ、士郎の理性を食い荒らした。彼の膝に座る一人の少女が、見事な肢体を狂わせ踊る。寝巻き代わりのガウンなど、今やその役目を完全に放棄していた。それを目にし、士郎は益々興奮する。外界に晒された手ごろな乳房のシルエットが、彼の脳髄をアルコールで煮沸したのである。

「シ……、シェ、シェロ……。じらさない、で……」
「ルヴィア、ここも一応は外なんだよ?」

「やだ、いじわるっ、ん……ぁ、はぁあん!」

 衛宮邸の縁側でよがり狂うルヴィアゼリッタは、天使もかなわぬほど淫乱で、街娼を思わせるほど清純だった。そんな彼女を後ろから抱いて、膝にかかる程よい重さを楽しんでいた。月影を泳ぐ橙の糸。香しいそれに鼻をくすぐられながら、士郎は小さな耳をそっと噛む。

「んんっ!」

 面白いほど反応のいいルヴィアを、士郎はぎゅっと抱き締めた。陶酔せずにはいられない、柔らかい温もりが愛しかった。首筋を強く吸い、印を付けて所有権を主張する。明日怒られるだろうが、まあ、それも楽しみの一つだろう。開き直って、更に強く吸い付いた。

「やっ、やぁぁあぁぁぁー!」

 軽くいったのだろう。くたりとしてしまったルヴィアゼリッタ。その、士郎に頭を預けて呼吸を整える彼女の瞳には、幾分かの恨みの光が灯っていた。

「……シェロの、ばか」
「怒った?」
「あ、あたりまえですわ……。いつもいつも私をいじめてばっかりで――。こらっ! ちょっとどこ触ってるんですか! やめっ! ふぁあん!」

 ルヴィアの吐息は甘かった。そして、彼女の涙もまた、芯から震えるほどに甘かったのである。頬につたう一筋のそれを舐めとって、士郎は歓喜に飲み込まれた。

 静かな庭を風が駈ける。虫達の声が遠い。清廉が染み渡った広々とした空間。かつて、士郎の父親が愛でたこの場所は、今宵も変わらずただ、そこに在り続けた。それだけで全てが巌のようだった。熱に犯される二人を除いて。

 鎖骨からうなじにかけて執拗に舌をはわし、同時に太ももをゆっくりと愛撫する。しっとりと手に吸い付くような触感を楽しんで、その奥に秘められた花園に肉薄しては遠ざかる。じらしているのが自分なのか、じらされてるのが自分なのか。士郎にしてみればどちらも甘美な事この上なかったのではあるが。

 ルヴィアゼリッタがとろけていく。士郎とともに堕落する。瑞々しい肉体は燃え上がり、熱く火照った秘所は蜜を垂れ流し男を渇望していた。

テラスでの秘密

 昼下がりの陽光に包まれて、庭の緑が輝いていた。

 日当たりのいいテラスの片隅、土の匂いが暖かいその場所に、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトの姿があった。白で整えられた装いが、特にすらりと長いスカートが、穏やかな風に揺れていた。

 けだるい午後の空気の中、のんびりと読書をしていたのだろう。テーブルの上には、凝った装丁の本があった。時々、ページがぱらぱらと踊っている。風の妖精たちによる、幼く微笑ましい悪戯であった。

「……うっ、……はぁ……」

 熱に犯された声が聞こえる。何かに耐えるような、それでいて何かを渇望するような、そんな、必死に押し殺された声だった。

 小鳥のさえずりが耳を潤す。柔らかな木漏れ日が目に優しい。優雅で繊細な紅茶の香りは、小さなテラスを満たしていた。澄みきった空に白い雲。ふくいくたる時間の流れ、もしも他人がいたならば、あるいはそう表現したかもしれない。ただ一つ、演じられる営みさえ目にしなければ。

 大きな手のひらが動いていた。 服の上からルヴィアゼリッタの膨らみを揉みあげるそれは、明らかに別人のものであった。

 柔からな双丘を優しく撫でる。途中、固くしこった頂きを見付け出し、布の上から玩ぶ。親指と人さし指で軽く摘み、じわじわと快楽を注いでいく。たっぷりとした量感の乳房を楽しみ、うなじの手触りを堪能していた。

「シェ、ロ……」

 せつなさを込めて名前を呼ばれ、手の主の執事は動きを止めた。一瞬の空白をおいて、唇を奪うことを決める。桜色のそれは、彼の脳をとかしてしまうほど強力な、憎むべき麻薬の発生源であったのだ。

「んんっ…………」

 ルヴィアゼリッタの細い腰をさすり、お腹を撫で回し、太腿を刺激する。長いスカートを少しずつめくり上げ、美しい足を外気に晒す。屋外で肌をあらわにするという途方もない羞恥に、少女は耳の裏まで真っ赤に染めて耐えねばならなかった。

ペナルティ

 決闘に負けた方が一ついうことを聞く。そんなルールが成立したのはいつからだったか。それは憶えてないけれど、今は余り重要でもなかった。そう、重要なのはただ一つ、今回の敗者がルヴィアゼリッタだということである。

 遠坂凛からの視線を痛いほどに感じながら、ルヴィアゼリッタは目の前のものに顔を近付けた。血管の浮き出た肉の塊。どう見ても嫌悪すべきグロテスクなそれは、しかしどうしようもなく彼女を興奮させた。持ち主が士郎であることも関係しているのかもしれなかった。

 凛に促されて、ルヴィアゼリッタは舌をはわせた。今回のペナルティは「一晩士郎の相手をする事」。ただし直接交わることは許されない。そのようなこと、凛が許すはずがなかった。士郎の恋人はまぎれもなく彼女なのだから。

 後ろ手に縛られたルヴィアゼリッタに、可能な手段など一つしかない。故に、先ほどから彼女は、その可憐な唇を士郎の性器に捧げているのである。汗に濡れた瑞々しい肉体に、乱れきった髪を張り付かせながら。

 ルヴィアゼリッタは裸であった。見るものに清楚なイメージを与える白いワンピースは剥ぎ取られ、下着も凛に奪われてしまった。彼女の見事な肢体を隠すものなど何もなく、染み一つない白い尻が揺れる様は、凛の目を十分に楽しませていた。

「ふふっ、濡れてるんじゃない?」

 一生懸命士郎に奉仕するルヴィアゼリッタの後ろ姿を鑑賞して、凛は意地悪く指摘した。それに応える余裕などルヴィアゼリッタになかったが、耳に届いたその言葉は、彼女の羞恥心を更に刺激するに十分だった。先ほどからずっと興奮していたのは、まぎれもない事実だったのだから。

 舌をくねらせ頬を凹ませ、士郎に快感を与えることは出来た。それに自身の性欲を刺激される事もあった。ところが、である。後ろ手に縛られたルヴィアゼリッタには、それを解消する術などなかったのである。凛に見つからないよう、こっそりと太腿を摺り合わせても、泣きたくなるほど微々たる効果しかなかった。それではいっそう乾くだけであった。

 触ってほしい。思わずそうねだりたくなる衝動を押さえ付けて、ルヴィアゼリッタは理性で厳重に鍵をかけた。凛にこれ以上辱められるなど、絶対にごめんだった。そんな努力をあざ笑うかのように、凛は花開く秘所に軽く息を吹き掛ける。たったそれだけのことで若々しい肉体は激しく燃え上がり、抑え切れない快感が嵐の様に駆け抜ける。

「あぁっ、いやあぁぁーーっ!」

 倒れ込んでひくひくと絶頂に酔うルヴィアゼリッタ。なんということだろうか。息を吹き掛けられただけでいってしまうなど、彼女自身、信じられないことだった。体の力が一気に抜けて、横たわりながら涙を流すルヴィアゼリッタは 、なんとも可愛らしく淫らだった。

「なによ、もう終わりなわけ?」

 容赦のない凛に促されて、更なる奉仕をするべく立ち上がろうとするルヴィアゼリッタ。しかし四肢は力が抜けきり、顎は疲労にまみれて痛みすら感じた。たまらず士郎が声を発する。

「なあ遠坂、もういいんじゃないか?」
「もう? 早すぎるわよ。アンタだってまだまだ満足できないでしょ?」

 確かに士郎の男根は未だ十二分に固く、充満された欲望に底は見えない。それでも、肝心のルヴィアゼリッタの体力が限界で、先ほどから横たわったままフルフルと震えることしかできなかった。

「うーん、仕方ないか。それじゃあペナルティの変更ね? いいでしょ、ルヴィア」
「……はい。ありがとう、ございます……」

 なんとかそれだけを口にして、ルヴィアゼリッタは一息ついた。いかなることになろうとも、少なくとも今よりはましな気がしたからだった。

 ルヴィアゼリッタは知らない。この後、媚薬の実験台と称して、凛と士郎の二人に責められ犯され続けるはめになることを。精液と愛液にまみれて、快楽の渦に溺れるはめになることを。後に彼女は二人なしでいられない体にまで開発されてしまうのであるが、それはまた別のお話である。


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