「死ぬよりかは、ましだけどさぁ」
畑に頭から突っ込むっていうのは、どうなの。
は身を起こして、ため息をつく。
油断した、と思う。混沌色の化け物が封じられたと思いこんで
すっかり警戒を解いていた。
「まぁ、お姉ちゃんとあたしじゃあ、警戒してたからっていって
どうなの、って話だけど」
あの四人のようにはいかないと、自分の非力さを嘆くだが
しかしそれより何処だここは。
あたりをくるりと見渡して、は首を傾げる。
なんだか、えらいのどかなような。
自分たちの家の周囲よりものどかな、まるで、時代をさかのぼったような
畑と山と…城の見える景色に冷や汗をかいていると
「…!?」
信じられないものを見つけたような声で、名前が呼ばれる。
…そして、も信じられない声を聞いた顔で振り向いて。












「………」
「…………」
が着地したのは畑だったが、が着地したのは誰かの夕餉の上だった。
握り飯は、無残にの下でつぶれている。
けれど、はそれを謝ることもできずに呆然とした。
ただ、呆然。
目の前に居るのは、別れて、もう二度と会えないはずの人で。
懐かしい茶髪と、自分の刺繍が入った鉢巻を見ながら、は呆然と、喋る。
「……来たの、は」
信じ、られない。
「佐助さんが来たのは、こうして、ご飯を食べようとしていたときで。
……少ししてから、あなたと化け物が。………びっくり、する」
始まりの焼き直しのような状況に、泣き笑いを洩らせば
力の限りに抱きしめられて、はその肩にただ、顔を埋める。
何もかも分らなかったが、今は、こうしていたかった。
あれこれ考えるのは後にして、こうして、ただ