そうして、義子が自分の変化に気もつかないまま
また、官兵衛の抱き方が変わった。
最初とは比べ物にならないような、普通の交わりに毎夜のそれはなった。
なって、しまった。

胸を舐める舌に、義子は唇に指を当て、声を押し殺す。
別に殺さなくても誰も聞くものは
官兵衛以外にはいないが、その彼に聞かれるのが、嫌だ。
嫌?
嫌ではないけど、ちがうけれど。
あぁ、分からない。
分からないけれども殺したくて、あちこちを舐められて
体をびくびくとさせるのに、義子は声を出さない。
「ふっ……ぅ」
漏れそうになる声を指を咥えて抑えるのに、
その指を舐められて義子はうるんだ目で官兵衛を見た。
「最後には千切れる」
涎にまみれた指をなぞられて言われる言葉に
彼女は動揺を覚える。
…意味が分からない。
抱くのならば、すぐに抱いて終わってくれればよいのに。
途中抱き方が切り替わった時には、痛くなくて済むと
喜んだくせになんたることだが、あまり優しくしないで欲しいと義子はただ思った。
理由は知らない。
ただ、あんまり優しくされると困ると思っただけだ。
けれども官兵衛はそれは許してくれなくて、
花弁をなぞり、指で豆を触り、義子の体をはねさせては
表情をいちいち確かめて、物言いたげに唇を開かせては、閉じる。
言いたいことがあるならば言ってくれればよいのに。
思いながら手を伸ばすと、彼の手が伸びて、掴まれる。
そうしてその掴んだ手に官兵衛は口づけて
義子をその剛直で貫いた。
だけれども、その後も今までとは違う。
乱暴に揺するのではなく、義子の良い所を探っては、そこを突いて反応させる。
それにたまらず義子が声を上げ始めると
官兵衛は、また、物言いたげな顔をしては、口を開いて、閉じる。
その行為に、何が言いたいの、と問いかけようと口を義子も開けたが
そこから出るのは切れ切れの嬌声だけで
結局その日にその問いかけを投げることは叶わなかった。

そうして、毎夜毎夜の交わりを、義子は微妙に恐れるようになったのである。
これが、三度目の彼彼女らの変化である。