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疲れたよ
走ってきた分を検討して歩いていたつもりですが、意外に逃げた距離が長かったのと、お昼ご飯を食べるのが結構遅かったせいで、お山のお屋敷についた頃にはとっくに日が暮れていました。走ってマゴットさんから逃げている時には気がつきませんでしたが、その森はかなり下草や木の根っこがわしゃわしゃと生い茂り、歩きにくいことこの上ありませんでした。ですからみんなはもうへろへろのへとへとになっていました。お屋敷の温かい光がもれ出るドアに手をかけた時には、それはもうほっとしたものでした。
「おやおや!この子達はどうしたことだろうね!」
ビルボが玄関でへたり込んでいる4人を見つけてそう言いました。
「疲れたよー!」
さっきからずっと黙って(口を利くのもおっくうなほど、実はみんな疲れていました)ついてきていたピピンが、開口一番そう声に出しました。
「はっは!一体どこまで行ってきたんだろうね、まったく。何か悪さをしてなきゃいいんだけどね。」
口ではそんなことを言っていましたが、ビルボの目は、いたずらっ子のように少しだけきらきらしていました。そんなビルボに、フロドはなんだかおかしくなって、つい甘えたくなりました。
「ビルボ、わたしたちは本当に疲れたんですよ。何かおいしいものはありませんか。それもたっぷりと。」
そのフロドのくすぐるような視線にビルボはくすりと笑ってもう一度4人を見下ろしました。
続く。
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