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おなかへった
ビルボの視線が温かかったせいでしょうか。メリーもピピンも、おまけにフロドに少し遠慮がちのサムまで、あっという間に『おなかへった』の大合唱になってしまいました。
「何かくださいよビルボ。」
「おなかへったー!おなかへったー!」
「何かありますだか?おらが用意した方がいいですだか?」
「秘蔵のきのこでも出してくれるのかな?」
今まで黙り込んでいた4人の、その割れるような合唱にならない合唱に、ビルボは思わず噴き出してしまいました。
「全くしょうがないね、お前たち!」
そしてそんなことを言いながらビルボはとりあえずなくしたバスケットやらなんやらのことは不問にして真っ白なタオルを4枚出してきました。そしてきょとんとしているホビットたちに一枚ずつ渡したのでした。
「そうだね。こんな泥まみれで埃まみれなホビットは見たことないな。私のディナーにはとてもじゃないけれど招待できないよ。」
「え?」
ピピンがそう言って、かれらはお互いに顔を見合わせました。するとどうでしょう。今まで気がつかなかった方がどうかしているくらい、みんなの顔や服は汚れていました。
「さあお風呂だ!今日はちゃんと4つ用意してある。入っておいで!」
そして4人は空きすぎたお腹をさすりさすり、バスタブのあるお風呂場へと歩いていきました。
続く。
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