1 おはよう 「ホビッスキーに20題」より
思えばそれは、とても楽しい一日でした。 そんな一日のはじまりは、大きな(そして多少迷惑な)おはようのあいさつからでした。それまではいつもどおり静かな袋小路屋敷でした。珍しくフロドが寝坊をしています。サムはとっくに庭仕事にかかり、ビルボは書斎でなにやらまた書きものをしています。サムは一度主人を起こしに行ったのですが、なんだか起こすのがかわいそうになるくらい(年下のサムがフロドに言う言葉ではありませんが、とにかくそう思ったのです)ぐっすり眠っていたので起こさなかったのでした。しかしそんな、サムの愛する静けさが一気に壊されるような声が、突如として気持ちの良いホビット穴中に響き渡りました。 続く。 |