おはよう 「ホビッスキーに20題」より

 

思えばそれは、とても楽しい一日でした。

そんな一日のはじまりは、大きな(そして多少迷惑な)おはようのあいさつからでした。それまではいつもどおり静かな袋小路屋敷でした。珍しくフロドが寝坊をしています。サムはとっくに庭仕事にかかり、ビルボは書斎でなにやらまた書きものをしています。サムは一度主人を起こしに行ったのですが、なんだか起こすのがかわいそうになるくらい(年下のサムがフロドに言う言葉ではありませんが、とにかくそう思ったのです)ぐっすり眠っていたので起こさなかったのでした。しかしそんな、サムの愛する静けさが一気に壊されるような声が、突如として気持ちの良いホビット穴中に響き渡りました。
「フロド〜!おはよう!!!」
例にもれず、暇をもてあましてフロドとサムのゆったりした生活にちょっかいをかけにきたブランディバックとトゥックの若旦那の声でした。

続く。