7 木登り
せんたくが終わるとサムの午前の仕事は終わりです。フロドはやっとさっきのパイプをふかすことにしました。まだ4人はなんとなく湿っぽかったのですが、この陽気です。そのうち乾くだろうと、当初の目的であるパイプ草に目標を変えました。 そういうわけで、ホビットたちはお山の上の大きな木に登ることになりました。 はじめ、サムはフロドが木に登るのを、かなりはらはらしながら見ていました。メリーやピピンたちは手馴れた動作でひょいひょいと登っていきます。サムが、もしかしたらこのホビットたちはビルボ大旦那の目を盗んでこの木に何度も登りに来ていたのではないかと疑ったほどです。しかしサムはそんなことは頭の片隅に追いやって、フロドの心配だけをしようと思いました。フロドがこんなところで落ちでもしたら大変です。サムは、自分がさいごに登ることにして、フロドが無事に登り終えるまで下で待つことにしました。そしてもし、万が一フロドが落ちてきでもしたら、受け止めようと構えていました。しかしそんなサムの心配は全くの無用でした。フロドはもともとわんぱく坊主だったのです。木登りなんか平気でやります。それにもし落ちたとしても大丈夫だという自信もありました。なにしろ身が軽いですし、この木にはよく登ったのですから。でも、下であからさまに心配そうな顔をしたサムがひかえているのを見るのも、悪くないなぁと思っていました。そしてあっと言う間に、フロドは自分のお気に入りの枝に腰掛けてサムを手招きしました。 続く。 |