The Two Hobbits 2 〜序章〜
これは指輪戦争の陰なる歴史の軸であった、フロドとサムワイズの物語である。第一部に引き続き、フロドとサムワイズの行方がこの物語の中心となっている。フロドの手記は主に自分の辿った道の記録であり、かれとサムワイズの運命を綴ったものであった。 歴史は大きな渦となり、中つ国の全ての生き物を巻き込んでいた。メリーとピピンはエントたちと共に仲間を助けるべく懸命な努力を続け、セオデンと彼の民はギムリ・レゴラス・アラゴルンの勇気を得、サルマンの恐るべき軍と血で血を灌ぐ戦いを繰り広げた。ガンダルフは中つ国の全ての自由を愛する者のため闇から戻ってきた。 しかし、かれらの旅はそのような歴史の表には決して顕れない旅であった。暗闇を歩き、死と恐怖を渡り、常に絶望と隣り合わせであったのである。絶望と破滅の旅であったにも関わらず、この物語が時を越えてなお読み継がれているのは、この物語がふたりの深い友情と愛情によって一条の光を放っていたからである。そこには確かに暗闇の中に輝く何かが存在したのである。それらが中つ国を去ってどれほどの時が経つのであろうか。失われたよきものは、もうここにはない。 「モルドールへ」に続く。 |