In The Spring 1
旅の仲間たちは霧ふり山脈の西の裾野を南に向かって進んでいました。先頭にはやけに楽しそうなレゴラス、次にギムリが半ばエルフに強制連行されているように続いています。ギムリご自慢の髭の先はしっかとエルフにつかまれてしまっています。やや離れて、ギムリが必死に目で『このエルフをどうにかしてくれ。』と訴えてくる様子に無視を決め込んだガンダルフ、それをしごく楽しそうに見ながら鼻歌でハミングして肩を組んでいるメリーとピピンが続いています。そしてすぐ後ろにアラゴルンが相変わらず無口なまま、何を考えているのかさっぱり分からない様子で歩いています。そしてその次にフロド、その後ろに馳夫がいつ振り向いて発狂し始めるかと気が気でない(ひどい・・・)サムと続き、しんがりはやはりいつもなぜだか損な役回りばかりのゴンドールの執政官の嫡子ボロミアでした。そんなことはさておき、霧ふり山脈の裾野には雪は積もっていないとは言え、夜の寒さは旅慣れている人間達の身にもこたえるものがありました。
「温泉でもあればよいのだがな。」
サムの後ろでボロミアがぼそっとつぶやきました。
「温泉ですだか、ボロミアの旦那。」
サムが振り向いてボロミアのひとりごとに答えました。
「ああ、そうだ温泉だ。われわれにはそんな休息が必要だと思うのだが。」
そんなやりとりにフロドも振り向きました。
「いいですね!温泉ですか。わたしは長らくそんなものに入っていないような気がしますよ。」
フロドがにっこりと笑ってサムとボロミアに話し掛けました。サムは主人のとてもホビットとは思えないようなきれいな笑顔に見とれていたので、周りのそれぞれの思惑を嫌というほど含んだ反応にしばらく対処することができませんでした。ボロミアも同じようにほけっとした顔で見惚れていました。
「この辺りには温泉は沸いていないのでしょうか?」
フロドがそう言うと、今までだんまりを決め込んでいたガンダルフも振り向きました。かわいそうにギムリの『助けてくれ』の視線は今回も完全に無視されました。
「おお、そうじゃな。温泉か、いいのう。わしもたまにはゆっくりつかってみたいものじゃ。この辺りには・・・」
ガンダルフが次の言葉を言おうとした時、今まで黙々と歩き続けていたアラゴルンまでもがフロドを振り向いてガンダルフのせりふを取り上げました。
「あるとも、フロド。この辺りは遠い昔から火山地帯なのだよ。モリアの底には地中の火が常に湯気をあげている。うまく掘り当てることが出来ればそれは素晴らしい温泉に違いない。」
「そうなんですか!」
フロドが目をきらきらさせて、下心を必死に隠す(ようにサムには見える)ゴンドールの王を見ました。そこでやっとサムは、主人の危機にはっと気がつきました。よく見ればボロミアとアラゴルンはもちろん、メリーとピピンにさらにレゴラスまでもがフロドの回りにいつのまにやら集まっていました。レゴラスはギムリの気を引くためにわざとやっているとしても、残りの人間達とホビッツは真剣にフロドの温泉につかる姿を狙っているように(サムには)見えました。サムは慌てて主人と仲間(フロドに関しては敵なのですが)の間に割って入りました。
「さあ、旦那方、止まってねえで進むだよ!」
サムはそう言ってみんなを無理やりもとの位置に戻しました。ガンダルフは何事もなく済みそうだったのでほっとしたように元に戻り(その予想は悲しいことに大きく外れるのですが、賢者であろうと未来は読み切れないので仕方ありません)、ギムリはうんざりしたように肩をすくめて(ちゃっかり髭はレゴラスから取り戻してはいましたが)見せました。
『まったく、油断もすきもありゃしねえ!レゴラス旦那は本気かどうかおらには分からねえが。メリーの旦那はピピンの旦那がいるだよ!まったく何考えてるだ。だがよ、あの大きい人たちにはほとほと手を焼くわいな、サムワイズ・ギャムジー!おまえの手には負えないんじゃないか?いや、だめだ!おらがフロドの旦那をお守りするだ!でもフロドの旦那は温泉に入りたがってらっしゃるしな・・・。』
と、無言のサム。
『ギムリ、わたしに振り向いてくれないかな?フロドに少しでも嫉妬してくれたら!もう離さないのに、可愛いドワーフ!』
と、にやにや笑いながら自分の世界に入っているレゴラス。
『戻って来なければよかったのに・・・あの放蕩エルフめ。フロドには悪いが俺のかわりをしてくれたらありがたいのだが・・・。』
と、旅は始まったばかりだと言うのに既に疲れ果てた様子のギムリ。
『フロドってさ、背中とか真っ白なんだよね!ね、メリー!』
『そうさ!僕らだって見てみたいよ、ピピン!温泉ならあのうるさい庭師に邪魔されずに見れるさ!いやぁ、ホビット庄では苦労したもんな〜。どこかに沸いてないかな?』
と、ひそひそ話しをし始めるメリーとピピン。
『フロドと温泉、フロドと温泉・・・・』
と、時々崩れそうになる顔を必死で仏頂面に戻すのに失敗しているアラゴルン。
『本当に沸いていると良いのだが。フロドを休ませてやりたい・・・。』
と、比較的まじめに考え込むボロミア。
『全く毎度毎度どうにかならんもんかのう!エルロンドよ、わしの選択は間違っておったのかのう・・・』
と、おおげさにため息をつくガンダルフ。そして旅の仲間の大半が自分を狙っているとはつゆしらず、今までどおり歩き続けるフロド。一見先ほどと同じように見えますがみんなの(ギムリとガンダルフはまあ別ですが)心の中はフロドと温泉のことでいっぱいでした。
そんなこんなで一行は夕方頃、今日の野宿をする森を見つけてそこに腰を落ち着けました。荷物をおろしてめいめい好きなことをしゃべったり、食事の支度をしたりしています。今日の食事はいつものようにサムとそれに当番でギムリが作り始めました。
「サム、手伝おうか?」
フロドは、今日はそれほど疲れていなかったのでサムにそう話し掛けました。
「旦那はどうぞ休んでてくだせえ。おらとギムリの旦那がお作りしますだ。」
サムはそう言いましたがフロドは聞きませんでした。
「サム、わたしだっていつもおまえを手伝いたいと思うのだよ。おまえがわたしをいつも手伝ってくれるようにね。何かやらせておくれ。・・・それともわたしじゃ役にたたないかい?」
フロドは少し悲しそうにそう言いました。
「とんでもねえですだ!」
サムは慌てて首をぶんぶんと振りながらそう言いました。
「おら、旦那に手伝っていただけるなんて嬉しくってたまらねえです。ですが、おら、旦那がやけどでもしたら、怪我でもしなさったらと思うと怖くて・・・。」
サムがそう言うのを聞いて、フロドはにっこりと笑いました。
「ああ、サムや!おまえはやさしいね。大丈夫、おまえがついていてくれるなら。さあ、はじめに何をしようか?」
フロドはそう言って、照れて急いで背中を向けてしまったサムを後ろから追いかけて、耳まで真っ赤になっている庭師の腕を取りました。
「水を・・・」
サムは恥ずかしくてそれしか言えませんでした。そんなはたから見ているだけでこっちが恥ずかしくなるような二人を見て、みんなはそれぞれ最大級のため息をこぼしました。
「はあ、どうしてあの庭師なんだ!僕のほうがかれにはぴったりなのに!」
と諦めきれないメリーにピピン。肩を組んだまま二人で顔を見合わせて首を傾げています。もちろん二人してふざけているのですが、細くて白いフロドに腕を取ってもらえるということに関しては、多少本音も混ざっていたかもしれません。しかしよく見るとまあ二人ともサムとフロドに負けないくらい仲のいいことで!
「・・・・・・フロド・・・なぜだ・・・」
とかなんとかつぶやきながらもフロドを引き止めるだけの勇気がないままに二人を見送る今日は特によれよれに見えるアラゴルン。
「わたくしはサムよりもフロドにやさしくないのだろうか・・・」
と本人としてはしごく真剣に悩んでいるけれど、どこかズレているボロミア。それぞれみんなサムとフロドの愛に満ちた(?)会話に、温泉のことも忘れてがっくりしていました。ガンダルフだけは、我関せずといった顔であさってのほうを向いてパイプをくゆらせていました。こんな時は関わらない方がいい。この魔法使いはそう悟っていました。実際、今までの短い旅の中でのフロド争奪戦(あったのか?)にて、被害を受けたことが無いのはこの賢いイスタリだけでした。
さて、取り残された食事当番のギムリはとりあえず一人で残りの支度をしようと思いました。さすがにめんどくさい事の多い食事当番の時はあのしつこいエルフも追っては来ないでしょう。しかし、ギムリは自分が甘かったことにすぐに気がつきました。レゴラスはみんながフロドとサムに気を取られているのをいいことに、フロドと同じ手で、ギムリを手伝おうとしていました。
「やあギムリ、わたしも手伝おう。」
「いらん。」
「そんなこと言わずに。」
「いらん。」
「怪我の心配なら不要だよ。さあ、なにから始めようか。」
「だれも心配などしとらん。だからいらん!!!」
ギムリの声はあえて無視してレゴラスは勝手に食事の下ごしらえを(自分はほとんど食べないと言うのに)し始めました。しかしレゴラスの料理の腕前はお世辞にもすばらしいとは言えませんのでギムリはその後始末に徹さなければならない事がこの時点でほぼ決定していました。
「ギムリ、そんなにつんけんして、わたしとフロドのことを妬いてくれたのかい?」
何があったと言うわけでもないのにレゴラスはギムリにこんなわけの分からない質問を浴びせかけていました。どう答えろと言うのでしょう!『いいや、ちっとも。』と言えば、『またまた、照れ隠しかい?本当に可愛いドワーフだ!』と言うに決まっています。それに間違って、もしくは内容を聞いていなくて『ああ。』とでももし言ってしまえば、もうモリアのドワーフに明るい未来はないこともギムリには分かっていました。仕方なくその問いに無視を決め込み、ギムリはレゴラスのいいように手伝わせてやりました。ギムリは決してあきらめのいいほうではありませんが、このエルフに関してはもはや傍観の域に達していました。ガンダルフは心の中で『すまないな、ギムリ。』と思ってはいましたが、助けてやってこのエルフの怒りをかうことは賢明でないと分かりきっていたのでそのままにしておきました。
そのころフロドとサムは水を探して森の中を歩き回っていました。裂け谷から持ってきた水はもうそろそろ底が尽きようとしています。フロドは楽しそうにサムのあとをついていきます。まるで危険な旅の途中ではなくてピクニックや慰安旅行にでも来ているような雰囲気で、今にも踊りだすのではないかと言うくらい上機嫌でした。サムはフロドが後ろにいること、今二人っきりだということに気を取られてろくに辺りも見えていませんでしたので、当然のことながらなかなか川も湧き水もみつかりませんでした。はじめに水音を聞いたのはフロドでした。
「サムや、わたしには何か水の音が聞こえる気がするんだが・・・」
「え?」
はじめサムには何も聞こえなかったように思いました。
「ほら!」
と言ってフロドは再びサムの腕を取り、顔を近づけました。
「ほら!聞こえるだろう?水がわくような音が!」
フロドはそう言いましたがサムは自分の心臓の音がうるさくてとても集中できませんでした。でも・・・そういえば何か聞こえます。ですが普通の湧き水ではなさそうです。もしかしてこれは・・・
「温泉ですだ!」
サムが叫びました。まさにそのとおりでした。少し歩くとそこは大きな岩がいくつも折り重なり、その間の地面から小さな温泉が湧き出ていました。なんと幸運なことでしょう!これだけ次々にお湯が湧いている様子を見ると、あとは掘ればどうにかなるでしょう。今日中に入れるかもしれません。二人は水を持って帰るのも忘れて飛び跳ねながらみんなのところに戻りました。
「やった〜!」
と、無邪気に・・・?喜ぶピピン。にっこりと笑っていますが心の中では『フロドと入るためにあの庭師をどうしようか』と考え始めたメリー。
「フロドと温泉、フロドと温泉・・・」
と、何かにとりつかれたように低い声でぶつぶつとそんなことばかりをつぶやいているアラゴルンに、『こりゃやっかいなことになりそうだ・・・』と笑い顔がひきつりそうなガンダルフもいます。レゴラスやボロミアも振り向いて報告に顔をほころばせました。とりあえず今日の夕食は(味はどうであれ)急いですませて、みんな温泉に向かうことにしました。
ざっくざっくとフロドから少し離れたところから地面を掘る音がしています。フロドがいる辺りはもともと大きな岩で出来たくぼみにお湯が溜まっていましたので、みんなから先に入るように言われたフロドは真っ白い湯気の中、一人で温泉につかっていました。
「さあ、フロド、君が先にお入り。」
レゴラスが温泉の大きさをざっと目で測って言いました。ギムリをもちろん視界の隅っこに常に置いていることは言うまでもありません。いいかっこをしようと思ったのか、ギムリには不可解な嫉妬をさせようと思ったのか、ただ単にいいエルフなのか、レゴラスまでフロドを狙っているのかはとうとう分からずじまいでした。
「そうだ、この岩のくぼみはどう見ても人間用じゃあない。ホビットサイズだよ。僕らが先に入るべきだと思うんだけど。」
「ばかピピン!おまえが入ってどうするんだよ。フロドが入らなきゃ意味無いだろ。」
「そっか、そうだったねメリー!」
とメリーとピピンのちょっと考えると恐ろしいような会話が続きました。
「そうだ、フロド。先に入るがいい。われわれはもっと大きく掘ってからにするとしよう。ゆっくり疲れを癒すといい。」
相変わらず真面目なボロミアに、
「さあ、では早く掘ろう。働け私の執政官よ。」
と、こんな時だけのハタ迷惑な王が付け足しました。それに自然に働くように体が反応してしまったボロミアは、やはりゴンドールに王はいらないと思いました。二人の間に『ご主人様は・・・あらごる〜ん。』『働けわたしのファイティングぼろみあ〜。』という会話があったかどうかは、とりあえずボロミアの名誉のために伏せておきましょう。
「おらも掘りますだ、フロドの旦那。おらにまかせて安心してお入り下せえ。」
サムはかなり『安心して』というところを強調してフロドに言いました。フロドはサムの言った意味を判じかねているようでしたが、
「サムまでそう言うのなら・・・。先に入らせてもらいます。すみませんね!」
と言って嬉しそうに笑いました。その笑顔にみんなの顔が緩むのが見て取れました。ですがサムはそれを見てかえって気を引き締めました。つまり他のやつらがフロドを覗き見するようなことがあったら、容赦なく掘った温泉に沈める覚悟はできていました。
さて、フロドが一人で幸せそうに温泉につかっている間に、『温泉を広げ早くフロドと一緒に入りたい隊』の仲間たちは必死に掘って(道具は何で掘っているのかということはこの際目を瞑って)いました。ガンダルフはどう見ても手を抜いていますし、ギムリは(ドワーフという種族はあまりお風呂好きではありませんので?)積極的には掘っていません。もしかれが本気で掘ったなら、あっという間にできたでしょう。レゴラスはそんなギムリの好みも知らず、ギムリのふさふさのおひげを洗ってやったらどんなにさわり心地がいいだろう・・・などと思いながらすごい速さで掘っています。アラゴルンは王権をこんなところで発動させながらボロミアを叱咤し、湯気と岩の向こうに少しでもフロドが見えないかと無駄な努力をしていました。しかし、実際役に立っていてのはサムだけでした。みんな好き勝手に掘り進めますので、どうにもこうにも一向に温泉は広がりません。誰かが掘れば誰かが埋めるという繰り返しでした。メリーとピピンははじめから戦力になっていないようで、もっぱらフロドが見えないかとうかがっているか、ボロミアの邪魔をしているかどっちかでした。サムはそんなみんなの一挙一動を観察して、暴挙に出ないようにうかがい、それでいてひとりきちんと温泉を広げる作業を進めていました。
しばらくすると、サムのおかげでだいたいみんな入れるような広さになりました。さて、我も我もと真っ先に飛び込んだのは大きい人たちとエルフでした。ガンダルフはまず後ろの髪を一まとめにしてから足を温泉にひたし、ひげを難儀そうに少し洗っていたかと思うと森の中に姿を消してしまいました。本当はゆっくりしたかったのですが、これから起こるであろう争奪戦に加わりたくなかったのでさっさと引き上げたのです。それに知らない間にギムリは荷物の方へ戻ってしまっていました。残されたレゴラスは急に不機嫌になり、近づいて話し掛けようとするものはいませんでした。ピピンはやはり泳ぎだし、メリーに叱られつつもボロミアを蹴っ飛ばしたりして遊んでいました。アラゴルンはそんな水しぶきを避けてひげの上までお湯につかっていました。まあそれはさておきとりあえずみんな入れました。そして、さあフロドは???とみんなが改めて思った瞬間です。
「ああ、気持ちよかった!お先にすみません。わたしだけ入らせてもらって。ギムリ一人では荷物の見張りも大変でしょう。それにガンダルフがどこへ行ったのかも気になりますしね。では戻っていますよ。ごゆっくり。」
なんと!フロドは信じられないほど白い肌をほんのりうす桃色にそめて、濡れた巻き毛をふきながらズボンと肌着だけ(ミスリルと指輪はどうした!)を着てもう上がってしまっていました。よく考えれば当たり前です。みんなが掘っている間中、ずっとフロドは入っていたのですから、もう上がらないとのぼせてしまいます。
「なにぃっ!わたしの夢がぁ・・・」
と言ったのは久しぶりに風呂に入って汚れも落ちるかといったところの野伏でした。
「そんなぁ・・・フロドと入れると思ったのにぃ・・・」
と、今まで楽しそうに泳いでいたのにあっと言う間にべそかきそうになって言ったのはピピンで、その隣ではメリーが『しまった!もっと真面目に掘れば良かった。』という顔をしながらピピンの頭をなでてやっていました。
「疲れが取れたのならばよいのだが、いやそれにしても残念・・・いやいや、何を考えているんだ!」
ボロミアはそう言うと同時に大きなため息をつきました。レゴラスは少し前にギムリを追いかけて一番にあがってしまっていました。ガンダルフも実はもう荷物の方へ帰っていました。森へ行ったのは髭を乾かすのにちょっとアノールの炎を(いいのか???)使おうと思ったからでした。(これがメリーやピピンにばれますと、僕も僕もと言ってうるさいことになりそうでしたので。)フロドが歩き去ってしまったので、本来の目的を失った大きい人と小さい人の計4人も慌てて温泉からあがってしまいました。ピピンは泳ぎ過ぎで多少のぼせかけていたのでちょうど良かったのかもしれません。しかしこれでは馳夫は汚い王のままです。ボロミアはむむっと思いましたが今はそれどころではありませんでした。こうしてばたばたと皆が去ってしまうと、温泉の湯気の中に取り残されたのはサム一人だけになってしまっていました。
「In The Spring 2」に続く。 |