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いねむり
待てども待てどもフロドはなかなか来ませんでした。まぁ当たり前です。あれから顔を洗って、朝ごはんを食べていたのですから。しかもサム特製のとびっきりな(量の)朝食を。やっとフロドが満腹になり、居間に入ってみると、居間のソファーに待ちくたびれていねむりをしているふたりのホビットの姿がありました。くるくるの捲き毛をお互いもたれかけさせるようにしてすうすうと、気持ちよさそうな寝息をたてています。
「おやおや。この若旦那たちはちょっとくらい待てないのかね。」
フロドは笑ってそう言いました。
「せっかくパイプ草を持ってきたのにね。みんなでふかそうと思ったんだが。」
「後にしなすったらどうです?おらは庭仕事に戻りますだよ。」
サムは口ではメリーとピピンをめんどうなやつらだと言っていますが、実はそんなかれらも大好きなので、存外やさしいことを言ってやりました。
「そうだね。後にしようか。じゃあわたしはお前を手伝うよ。」
「いいですだよ!旦那はのんびりしててくだせえ。」
「でも・・・」
「いいですから!それにとっつぁんも言ってますだ。ごはんを食べたすぐあとに働くのはよくねえってね。」
そう言ってサムはさっきの仕返しのようにフロドに片目をつむってみせました。そして少し頬を紅く染めたフロドを置いて、庭仕事に戻っていきました。外からはもうそろそろおき始めたホビット庄のホビットたちの声と、小鳥のさえずりが聞こえてきていました。
続く。
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