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ごちそう
おふろからあがったホビットたちを迎えてくれたのは、ぱりっとアイロンのかけられたこざっぱりした服と、さっき渡された真っ白なふかふかのバスタオルと、それにキッチンから漂ってくる香りでした。
「うわー!いいにおいだ!」
「うーん、これはきっと上等のきのこを焼いてるに違いない。」
身体を拭いて服を着ながら、4人は今夜のごちそうを予想してはほころぶ口元を隠さずにはいられませんでした。4人のお腹もグーグー鳴って、待ちきれないようでした。
はたして、ビルボの用意したごちそうたちはその想像よりはるかに大したものでした。とっても大きなきのこを塩と胡椒だけでさっぱりと焼いたもの、片手では持てないくらいのビールジョッキとビール樽、上等のワインと上品なグラス、いつものマッシュルームと野菜のソテー、燻製ハムにたっぷりのグレービーのかかっているかたまりのままのベーコン、添え野菜も黄色・橙と色とりどりで、マッシュポテトも、新しく作ったサワークリームも、豆の煮たのも、かぼちゃのパイやたくさんのベリー類までありました。
「うわー!すごいですね!」
いつもサムやビルボの上手な手料理に慣れているはずのフロドでさえ、そんなことを言いました。
「そうだろう?わたしは一人暮らしが長かったし、料理は作るのも食べるのも好きだからね。この添え野菜にはマゴットさんの畑の白い薬草も入っているんだよ。だからどれほど飲んでも食べても身体にいいってわけさ!」
ちょっと自慢げに、ビルボはそう言いました。しかし4人はええっ?!と顔を見合わせました。そうです。あの真っ白な花畑の薬草が今日の夕ご飯にも入っていたのでした。
「さあさあ、講釈はいいですから、早く食べましょう!」
まだ何か言いたそうなビルボを横目に、早くもナイフとフォークを両手に持ったメリーがそう言いました。
「それでは、乾杯!」
ビルボの楽しそうな乾杯の音頭と共に、おいしいおいしいディナーのはじまりでした。
続く。
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