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抱き上げる
あまりの可愛らしさに、フロドもサムも思わず目をみはってこいぬたちに近づいていきました。フロドは犬が苦手なのですが、さすがにこんなころころと太って小さくて、ふわふわしていてかわいい目をしたこどもには恐怖もどこかへ行ってしまったようでした。
「ほら、おいで、おいで。」
フロドがサムにしか向けたことのないような、あのとろけるようなまなざしでこいぬたちを呼びました。その甘さに負けたのでしょうか、それともただ単にさっき食べたお昼ごはんのにおいがフロドについていたのでしょうか。こいぬたちは今まで座り込んでいたところから、よいしょっと腰をあげてフロドの方へよちよちと歩いてきました。
「おお、いい子だね。」
フロドは一番にフロドの膝までたどり着いたかたぶとりのふっくらしたこいぬを抱き上げました。その他のこいぬもころころと白い真綿のようにフロドの周りに集まっていました。
「ああー!ずるいですよいとこさん!」
メリーとピピンが声をあげてフロドとこいぬたちに近づいていきました。
「わたしたちにも抱かせてくださいよ。」
「そうだよフロド!僕にも触らせて。」
「なんだ?わたしが悪いわけじゃないだろう?この子たちがわたしのところにたまたま来ただけなんだから。でもそう言うんならほら、抱っこしてあげなよ。ふわふわで気持ちいいよ。」
そう言いながらフロドはその抱いたこいぬを持ち上げて頬にすりすりとしてその感触を楽しんでいました。
「ああー、本当に気持ちいい。」
フロドの目は今にも寝てしまいそうなほどに細められていました。
「ほら、サムも!」
サムもそれほど犬(特に大きな犬)は好きではありませんでしたが、そのフロドの気持ちよさそうな顔と、かわいいこいぬたちの様子にすっかり心を奪われて、同じように抱っこしてみました。
続く。
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