Remembrance
4 〜君と僕〜 君は僕のお月様。住んでるここじゃなくて、地球から見えるお月様。白くて、輝いてて、遠くて、手の届かない場所があって・・・悲しい話がいっぱいあって、でも綺麗なお月様。 僕たちが住んでるこの場所を、地球ではお月様と言うんだって。それで、地球からは決して見えない部分があるんだ。そこにはウサギが住んでいて、オモチを食べるんだ。地球から見ると、お月様は真ん丸くなったり、細くなったり、消えてしまったりするんだ。そして真ん丸くなった日には、オオカミオトコとかが出たり、大波が来たり、お姫様がシャトルに乗ったりするんだ。それで、お月様が真ん丸の日には、お月様と同じ形のオダンゴを食べるんだ。あとススキとか、いっぱい飾ってさ。お月様に住むウサギとおしゃべりできるんだって、お母さんが言っていた。古い古いどこかの国の習慣なんだって。なんの事だか僕にはよく分からない事がいっぱいあるけれど、どれもこれも楽しそうだった。でもお母さんの聞き終わると、僕の胸はいつもどこか痛くなるんだ。どうしてだろう? だから、君は僕のお月様。いつも一緒にいるのに、それなのになんだかどこか悲しい。楽しければ楽しいほど、その瞬間が終わるのが怖くて寂しい。それでも僕は君と一緒にいるよ。だって、お月様にいるんだ。僕は君とここにいるんだ。何も怖い事なんてない。ほら、地面に触れる。地球の昔の人が焦がれた場所がここにある。君もいる。だからきっと淋しくない。でも、どうしてだろう。君といると、いつも僕は悲しいお月様のお話を思い出してしまうんだ。どうか、お月様。僕から君を取らないで。一人にしないで。ずっと、ずっと一緒にいられますように。僕はそう、お月様に毎日祈るんだ。 |