この物語は、登場人物の行動・描写が暴力的かつ過激になっております。15歳以下の方の閲覧を禁止いたします。また、悲劇的要素を多々含みます。そういった表現が苦手な方にはお勧めできかねますのでご注意下さい。
Lament Angel 25 まるで神に祈るようにアスランは跪いていた。力尽きたその身体は、もう血を流しすぎていた。それは心の涙が涸れる瞬間。それでもアスランはもう、悲しくなかった。天使はアスランを救ってくれた。この世で人の持ちうる最たる悲しみから、アスランを救ったのだった。愛しいものを失くす悲しみから。キラが生きていた。それでもう十分だった。キラが、自分の名を呼んだ。愛しいと泣いた。だからもう、悲しくなかった。 生きたものと死に逝くもの。その境界線を非情に分ける様、夜が明ける。眩し過ぎる暁の光が、どこか諦めを誘っていた。そしてアスランは目を閉じた。自分の何もかもを曝け出して、その光に身を委ねた。首から提げたペンダントを、取り出そうとした。しかしキラにもらった天使を握る力すら、もうアスランにはなく、服の上からそれをそっと撫でる事しかできなかった。 男が近づいてくる気配がした。銃をアスランに突きつける。男の表情は見えないが、恍惚とした溜息が男から漏れた。短い間隔で、二発の銃声が夜明けの空に響いた。カシャン、と、小さな音がした。それは、アスランの胸から落ちた銀のペンダントだった。その先に存在する天使は、血に塗れ、そして地面に突き刺さった。 続く。 |