この物語は、登場人物の行動・描写が暴力的かつ過激になっております。15歳以下の方の閲覧を禁止いたします。また、悲劇的要素を多々含みます。そういった表現が苦手な方にはお勧めできかねますのでご注意下さい。
Lament
Angel 2
ラクスがプラントに議員として出かけてから、キラは海辺の家でアスランと同居していた。マルキオはラクス同様、一時プラントへ赴いたのだが、そこにはまだ子供たちがいた。キラの母親だけでここの管理と子供たちの世話をするのが大変だったという事もある。だが何よりも、キラがアスランと共に居る事を望んだからだった。アスランは戦後処理にオーブに出向いたり、プラントまで出かけたりと、何かと多忙だったが、帰る場所がそこにはあった。広い家に、アスランの部屋も設けられ、そこには一匹の鳥が飼われていた。キラがアスランへと贈った、緑の小さな鳥だった。それはまるで、アスランの作ったマイクロユニットのようだった。アスランは、それに名をつける事をしなかった。
今日も、アスランはオーブ政府に呼ばれていた。キラには戦後処理の様々な仕事があると言って出てきた。しかし、本当はキラとカガリの身辺警護を強めよという、キサカからの連絡があっての事だった。
「どういう事ですか!」
アスランは、その主のいない代表執務室でキサカと向かい合っていた。
「カガリはまだしも、キラまで狙われているって!」
思わず椅子から立ち上がったアスランを、腕組みしたままキサカは鋭い瞳で見た。
「プラントの、ラクス嬢から連絡があった。プラントには、オーブという国を、それに若すぎる代表に対して良くない感情を持っている人々がまだいる。いや、プラントだけではない。この国の中にもだ。そして、さらに悪い事には、キラとカガリが双子だと言う事が、どこかから漏れた節がある・・・と。」
「そんな!」
アスランは、愕然として椅子に戻り、そして頭を抱えた。カガリは国の代表、それもまだ若い。反対勢力がいるのは当たり前だろう。そのためのプロの身辺警護もいる。だが、キラは今やただの民間人だ。警護をつけるどころか、どこから誰かに何かされたとしても、すぐには分からない。もし情報の通りにそんな情報が漏れたとすれば、警護の厳しいカガリをどうにかするよりも、まずキラを狙うだろう。そして万が一、キラがあのフリーダムのパイロットだと漏れたら、唯一成功した完全なるコーディネイターだと漏れたら、それこそカガリを狙うよりも効率的に色々な事が成されうるだろう。最近忘れがちだったその可能性を思い、アスランは顔をしかめた。
「この部屋からも、盗聴器が見つかった。もう撤去したがな。しかしそんな所まで手が伸びている。もう、これは静かに見守る時点を遥かに越えている。キラへの脅威はカガリへの、いや、この国への脅威だ。こちらの警備は、なんとかしよう。アスラン、君にはキラを頼みたい。」
「もちろんです。言われずとも・・・!」
握り締めた手を、アスランは睨みつけるように見た。少し、頭痛がした。
続く。 |