この物語は、登場人物の行動・描写が暴力的かつ過激になっております。15歳以下の方の閲覧を禁止いたします。また、悲劇的要素を多々含みます。そういった表現が苦手な方にはお勧めできかねますのでご注意下さい。

 

 Lament Angel 13

 

「あの子が死んだわ。」
女の声がした。それは遠くから響いてくるようでもあり、近くから聞こえているようでもあった。
「そうか・・・」
呟くような男の声が続いた。
「でも、あの子が死んだのは組織の者のせいよ。でも、そいつも私たちが手を下す前に殺されていたわ。素人にしてはあまりにも鮮やかな手口で。その次にも、連絡係の女が殺された。そしてまた次も・・・。段々私たちに近づいているわ。・・・誰がやっているのか・・・」
困惑した様子の女の声に、しっかりした響きの男の声が重なった。
「誰でもいい。俺の知らぬ所で何かが動いている。お前は逃げろ。あいつがいない今、組織を動かせる者はそういない。」
「でも、まだこいつの使い道があるかもしれないわ。こいつを使えば、あるいは・・・」
「そう、だな・・・しかし・・・」
また音は急に遠ざかり、そして消えていった。

 

復讐は、冷たいほどよかった。それが冷たければ冷たいだけ、アスランは人でないものでいられた。キラの事だけを考えていられた。キラが今のアスランの全てだった。否、それは過去も同じくそうだったはずだった。関わった者、すべて。その言葉にたがわず、アスランは全ての者を消していった。まず一人、そしてそこで得た手がかりの女。その次は三人。若い男、老人、うら若い女。子供に近いものから、年老いた者まで、アスランは躊躇う事を一切しなかった。そのような感情はどこかに置いてきてしまっていた。そしてその手は、機械的に命を奪っていった。そしてアスランは、殺す前に必ずその目を見た。運命に抗う者、死を悟る者、今を否定する者、この世に残す愛しい者を呼ぶ者。それはさまざまだったが、そのどれもがどこか冷たかった。透き通った冬の湖のように、深く、暗く、そして底のないような色を見せていた。死に逝く者の瞳。その冷たさで、アスランは冷静になれた。

続く。