After a quarrel   Athrun side

 

 今日、キラと喧嘩をした。理由は、ちっとも課題をやっていないキラを俺が怒ったから。だって、いつもの事だ。キラったらいつもいつもキライな課題は後回し。それで居残りとかやり直しとかになってから、絶対に俺に泣きついてくる。で、そのたびに俺がほとんど全部キラの課題までやらなきゃならなくなっちゃうんだ。全く、やってらんないよ。まあ、それでも今回はちょっとキラの事、構いすぎたかな、とは思ってる。でも、だって、あんな事言われちゃ、さすがの俺だって腹が立つさ。

「キラ、今度の課題は明後日までだぞ。分かってるか?ちゃんとやってる?」
「やってるよ。大丈夫だってばー。アハハ。」
この顔は、絶対にやってないな・・・。俺は幼馴染の直感とでも言うのかな?すぐに分かった。毎度毎度のパターンじゃないか、キラ。
「アハハじゃない!キラ、いつだってそう言うじゃないか。今回は本当にやってあるんだろうな。」
「うるさーい!アスランはぼくの何なのさ!いいかげんにしてよね!」
「キラ・・・」
突然怒り出した、珍しいキラのキツい言葉がショックで、俺は一瞬言葉を失った。
「もう、ほっといてよ!アスランなんて知らない!」
そう言って、キラは俺の前から走り去ってしまった。
 

そして、今に至っている。今まで、まあたった一日だけど、キラは俺と口をきいてくれない。確かに俺はキラの事、構いすぎかもしれない。俺はキラにとってはただの友達かもしれない。でも、友達だったら心配して当たり前だろ?キラが心配だから言ってるのに!しかもキラは前科だってたっぷりある。俺は絶対に悪くない!そうさ、分かっちゃいるけど、でも、キラをこのままにしておけないって思うのは、・・・やっぱり過保護なのかなぁ。まったく、どうしてキラが悪いのに、俺が一日中キラのことばっかり考えてなきゃいけないんだ!なんだか、そんな自分に余計に腹が立ってきて、俺はキラの所に行く事にした。もうこれ以上こじれるのは嫌だ。いつも長続きしない喧嘩の理由は、キラだけじゃない、俺にもあったんだって気がついたら、なんだか少しだけバカらしくなってきた。だから、俺はいつもみたいにキラに仲直りをもちかけた。

「キーラ。」
キラのお母さんに挨拶をして、キラの部屋に上がった。部屋にはロックもかけていない。まるで俺がキラと仲直りしに来るのが分かってるみたいで、俺は怒っているのに、少しだけ笑いそうになった。
「・・・なんだよ、アスラン。」
やっと名前呼んでくれた。なんだかそれだけで嬉しくなって、思わず顔が緩んでしまった。
「だから、何。」
まだむくれてる。まったく、しょうがないな、キラは。こういう膨れっ面も、ま、たまには可愛いんだけどな。しょっちゅうだとホント困るよ。こっちの日常生活に響くんだ。頼むよ、キラ。だから、俺はとびっきりの仲直りの言葉を口にした。とっておきの、笑顔と一緒に。
「キラ、ごめん。大好きだよ。」
ほら、キラが笑った。お前の笑顔が、今の俺には一番大切なんだ。その笑顔を守るためなら、自分の時間をキラにちょっとくらい取られたって構わないと、俺はうかつにもまた思ってしまったんだ・・・。

おわり