「拍手をありがとうございます。とっても嬉しいです。ねえ、佐伯くん。」

『・・・・・・。』

「佐伯くん？」

『・・・何ですか、片桐さん。』

「どうしたんだい？さっきまで、楽しそうに静たちと遊んでやってくれていたじゃありませんか。せっかくだから、静たちも佐伯くんも、一緒にお礼画面に出てきたらどうかなぁと思ったんですが・・・」

『ふぅ・・・片桐さん。あんたはアレが遊んでいたように見えるのか？』

「？はい、とっても楽しそうでしたね？」

『いいかげんにしてくれ・・・俺は止まり木じゃない。それに、色んなところに出張御礼しすぎて疲れた。休ませてくれ。』

「色んな所って・・・まさか・・・佐伯くん・・・ぼ、僕以外の誰かとお礼をしていたんじゃないだろうね？それは、君のいい人なのかい？それだったら・・・僕の事なんか気にせずに、その人の所へ行ってあげて下さい・・・」

『ちょ・・・！何言ってるんですか片桐さん・・・！』

「だって・・・僕といたって、拍手のお礼も楽しくないみたいだし、静たちも、君に迷惑かけたみたいだし・・・その・・・」

『ふぅ・・・まったく・・・あんたはいつもそうやって勘違いして。』

「勘違い？」

『出張拍手はいわゆる大人の事情ってやつだ。鳥は正直うっとおしいが、俺はあんたと一緒にいるのは不満じゃない。』

「え・・・？」

『まだ分からないのか？あんたのためなら、拍手画面の一つや二つ、こなしてやるって言ってるんだよ。』

「でも・・・」

『分からない人だな。あんたには、身体で分からせてやる必要があるみたいだな。』

「そんな！」

『いいから、もう黙って下さい。』

「・・・はい・・・」

『そんな訳で、お前ら、拍手してくれて嬉しいぞ。ほら、もうこれでいいだろう。』

「は！お礼画面の最中でした！忘れてました・・・！ごめんなさ・・・ひゃっ！」

『俺を焦らすな。行くぞ。』

「え？あ・・・は・・・はいっ！あの、皆さん、本当にありがとうございました！」

片桐稔＋眼鏡