Sweet Million Candies 7  幸せ

 

 今や自分達の家と呼べる場所に帰ってきて、早速二人は服やら何やらを広げていた。購入した服は、どれも実にアルフォンスに似合っていた。
「これは?これはどう?ねえ兄さん。似合う?」
「・・・ああ。」
輝く金髪にすらっとした手足。ふんわりと柔らかいからだ。金色の瞳は相変わらずやさしい光を宿している。それを見ているだけで幸せなエドワードだ。そんなかわいいことをスカートの裾を翻しながら振り向きざまに言われては、頷くことしかできるはずもなかった。

 

 さて、色々突っ込みどころはあるのだが、今のところ国家錬金術師資格をこのまま持ち続けることにしたエドワードは、当面は大佐の司令室へと勤務をすることになった。そうしてアルフォンスが留守番をして、エドワードが軍に働きに行くという生活パターンができてきた。何か大きく状況が変わらない限り、この生活が続くのだろう。家もアルフォンスとエドワードが協力して錬成しただけあって、小さくとも住み心地のよい家になっていた。でも、ちゃっかりエドワードが家の中にウォークインクローゼットなんか作ってしまっていて、(もちろんアルフォンスにと買った洋服たちを入れるためだけのスペースだ)アルフォンスに呆れられたりする毎日だった。

 

「おかえりなさい、兄さん。」
今日も、エドワードが家に帰ってくると、アルフォンスがそう言って、笑顔で出迎えてくれた。もちろんエドワードが買ってアルフォンスに与えた白いレース付のエプロンをして、家中にいいにおいを漂わせてだ。
『ああ、幸せってこういうことなんだろうな・・・』
妹のそんな甘い出迎えに、しみじみと幸せをとかみしめるエドワードだった。仕事場には嫌なヤツもいるが理解のある仲間がいる。小さくても、帰ってくる家がある。おいしいご飯を作って自分を待っている妹がいる。エドワードは、これ以上の贅沢と幸せはないと思った。
「ただいま、アル。」
そうして二人は笑顔を交し合い、手に手を取り合って、暖かく居心地の良い家の中に入っていった。

 

これからまた、エドワードの右手を取り戻すか戻さないかで人騒動あるだろう。それに国家資格をどうするか、アルフォンスのことをどう説明するかなど問題は山積みだった。しかしそれでも、順風満帆とまではいかないものの、キャンディよりもずっと甘い二人の生活がこれからも続いていく予感が二人の間を風となって通り抜けた・・・

 

つづく