シーツ・1 「じゃあ兄さん、行ってくるね。」 その夜は、アルが一人で出かけていた。今オレたちがいるこの街は、とある噂が最近ささやかれている場所だった。その街は夜に子供が攫われ、不思議な力で不気味な姿に変えられるというのだ。その調査を大佐に任されたオレたちは、少し錬金術クサイにおいがするこの事件を探りに、この街に来たのだった。ここまで来るのに案外手間取り、到着した頃にはすっかり夜になっていたのだった。夜だけどまあいい、さあ調査本番と気合を入れたオレたちだったのだが… 「こら!何を子供が夜中にほっつきあるいとるんだね!」 足は宙に浮いている。いくら暴れようとも放してくれそうになかった。そしてそのままオレはその警官に掴まれたまま、宙をブラブラ揺れながら今夜の宿までたどり着いたのだった。アルはその後ろからちょこまかとでかい鎧姿で付いてきていた。アルの肩が時々震えているのは、決して笑っているのではないとオレは自分に言い聞かせていた。そして、宿でも散々な目にあった。オレは宿のオヤジにも完璧に子供扱いされ(しかもそのオヤジも無駄にでかかった)、部屋に閉じ込められてしまい、アルしか夜中に出歩けないと言い渡され、そして今に至ったのだった。 |