叫び

 

もういいだろう オレの何かが優しく心を弄る
どんなに探したって 「この」世界のどこにもアルはいない
そうだろう?
 

それでもオレは 自分の叫びで目を覚ます
アル!生きていたんだな ……と。
それは嬉しそうな声で それは切ない声で
 

もういいじゃないか オレの何かが甘く心を嬲る
ここにはハイデリヒがいる それがお前のアルがいない証拠
そうじゃないか?
 

それでもオレは 夢から叫びで揺り起こされる
アル!逢いたかった ……と。
それは楽しそうな声で それは胸の痛くなる声で
 

眠るのが怖かった またあの笑顔と声を聞いてしまうから
オレが今どこにいるのか 分からなくなってしまうから
夢と現実の境が どんどん曖昧になってゆくから
 

兄さん 逢いたかったよ
兄さん ボクは生きているんだよ
兄さん 大好きだよ
 

自分に暗示をかける 強い思念が形となって
オレの夢にはいつもアルがいる
時には鎧の姿で 時にはまだ幼い姿で 時には成長した大人のまなざしで
 

もういいかげんにやめたらどうだ オレの何かが心を苛ます
そんな夢は 現実を何も見せてはくれない
そうだと認めろよ!
 

それでもオレは 自分の叫びで目を覚ます
アル! ……と。