Soul  太公望 side

 

黄昏に独り佇む時 後ろに長く伸びる影に 心まで絡め取られる
自分達の時は終わったと悟り
静かに瞳を閉じた
その瞼の裏にまで焼き付いたあの蒼に
果てしない温かさを想い抱く 

全てを失い 全てが始まる
全てが終わりを告げた今
心に残るのは唯 一つの存在
自分という個を離れ
形のない何かだけが 流れ出す

頬を伝う雫が もう一度 逢いたいと 自分に囁きかける 

終わる事のない悲しみを歓びに
行き場のない怒りを優しさに
受け止めきれない涙を微笑みに

砕かれた希望という名の心にも 胸を焼く光で 新しい朝が芽生える 

夕闇に独り溶け込む時 遠くに細く輝く光に 身体まで縛り付けられる
甘い時は去ったと知り
そっと唇に触れた
その温もりに重ねられたあの蒼に
とめどない激情を想い出す 

全てを失い 全てが始まる
全てが始まりを告げた今
この手に残るのは唯 一つの存在
孤独という時を経て
掴めない何かだけが 溢れ出す

その名を辿る呟きが もう二度と逢えないと 自分に語りかける 

こぼれ落ちる嘆きを唄声に
押え切れない憎しみを友愛に
耐え切れない痛みを安らぎに

鎮められた未来という名の心にも 一筋の光で 夜明けが花開く 

―――全ては唯 愛しき人の為に―――