Abhorrence  楊戩 side

 

人を動かす一番強い感情は 憎悪であると言う―――
それは時代への
他人への または自分自身への―――
他人を受け入れないでいる努力を生んだのも
やはり歪んだ憎悪
「天才」と呼ばれる所以―――?
「策士」であるが故―――? 

心のそこから湧きあがる感情
それはまるで自分が自分ではなくなるような・・・
激情の渦と対峙する様に凍てつく心
決して 誰にも悟らせない 誰にも 決して・・・ 

闇に沈んだ 光の入り込む余地のない静寂に 際立つ孤独
過去と未来に縛られ
自分の存在を見出す事もない
―――いや―――
むしろ自分を消そうとしていたのか―――? 

存在を確かめようとしても 崩れぬ意志
否定
拒絶 絶望 後悔・・・?

抱きしめても 触れ合っても 唇を重ねても 焦がれ合っても 求めても

残された理由 生きてゆく訳 そして

―――認めてはならない感情――― 

身震いするほどの憎悪が消える
感じた事のない安堵の感が 溢れて胸を締めつける
二度と浮かばぬ恐怖

温かさ―――自分の?  涙?  ―――幸福で?

それは憎悪より大きな存在?    至上の喜びとは――― 

それは 自分の存在さえ 嬉しく思うこの瞬間―――