紅蒼9 〜夜〜
最初こそどうして良いか分からずに政宗の身体中を撫で、あちらこちらに吸い痕を残していた幸村だったが、本能とは恐ろしいと実感するほどに的確に政宗の感じる場所を突いてきており、ただ幸村に肌を吸われるだけで、政宗はあられもない声が咽喉から漏れてしまうのだった。そうこうしている内に二人の着物は完全に肌蹴てしまった。邪魔だと言わんばかりに辛うじて残っていた下帯まで解いてしまうと、幸村は政宗のそれがもう既に自分と同じように熱くそそり立っている事に気が付いた。
「政宗殿・・・某、感激にござる・・・」
「っ・・・!うるせぇ!」
思わずとんでもない事を口走った幸村に、政宗はかあっと頬を紅くした。そんな政宗の唇に幸村はもう一度口付けを落とし、そして徐に政宗のそれと自分のものを合わせて擦り始めた。幸村の手は、よく鍛えられた武人らしく硬く大きく、二人のものを包み込んで動かすと、強すぎて痛いほどであった。それなのに、あまりに悦すぎる。自分のものと幸村のものが同じように高ぶって、露を零しながら摺られるその有様はあまりに淫猥過ぎた。政宗は色事上等と言わんばかりに最初はニヤリと笑ってそれを眺めていたのだが、ついに快感に耐え切れなくなり、涙目になりながら幸村に訴えた。
「ん・・・んアァ、ダメだ。幸村!」
「何がっ・・・駄目で、ござるか、政宗・・・殿。」
息も絶え絶えにハアハアと荒い息を付きながら幸村が尋ねた。思わずそんな幸村の様子に舌打ちをしたくなった政宗だったが、
「それを俺に言わせようってのか、この野郎・・・」
と言ったかと思うと、思い出したかのようにもう一度ニヤリと笑った。
「まあ、聞いてたっつー閨の作法とやらがどこまでのもんかは分からねぇが、あの忍と武田のオッサンはきっとろくに教えちゃいないんだろうしな。Ha!知らねぇのを教えるのも悪くねぇ。」
口の中でそう呟くと、政宗はすっと幸村の手を捕まえ、二人分の露で濡れそぼったそれに口付けて、挑発的な目で幸村を見た。思わずごくりと幸村が咽喉を鳴らすと、ククッと笑って政宗が続けた。
「このままじゃ、二人ともイッちまう・・・ちょっと待ちな。」
そう言うと、もう一度幸村の指先を捕まえて舐め回し、露にさらに唾液を混ぜてから、その手を自分の奥へと導いた。
「な・・・!政宗殿!何をなされるか!」
「ン・・・ここをちゃんと、解して・・・アンタのを・・・入れろ。」
「なんと!」
思わず吃驚して呆けた顔になった幸村の腰に跨り、政宗は自分のそこを幸村の指で解し続けた。
最初は驚いて、政宗にされるがままになっていた幸村だったが、政宗の裡のある一点を幸村の指先が掠めた瞬間、政宗が今までにない嬌声と呼べるに近い声をあげた。
「アァッ!」
「政宗・・・どの?」
その場所を覚えるように、そっと幸村が同じ動きを繰り返すと、ヒッと政宗が悲鳴のような声をあげた。
「ここが・・・悦いのでござるな・・・心得申した。」
何が心得ただと、政宗が幸村の首に抱き付きながら思った瞬間、
「御免!」
そう叫んだ幸村の声と共に、政宗は自分の身体が布団の上に乱暴に投げ出され、足を持ち上げられるのを感じた。
政宗が押し倒されてからは、もう幸村の独壇場だった。今までの幸村の初さはどこへやら。最初は声を殺していた政宗だが、いつの間にかその幸村の的確すぎる動きに喘がされ、叫ばされ、散々に鳴かされていた。一体どれくらい自分が果てたのか、最早数えることすら儘ならなかった。行き過ぎた快感と、身の奥に注ぎ込まれた幸村の子種の温度にまたしてもぞくぞくと背中を何かが這い上がるような気がした。政宗がもういいかげんに快楽からくる痙攣の如き反応を押さえたくとも、幸村は手と腰を動かすのをやめてはくれなかった。
「Hey!もう・・・苦しいっ・・・つってんだろ!」
ビクンと、身体が反射的に幸村の動きを捉える。散々に突かれ過ぎたそこはもうどろどろになっており、身体は軋みをあげるほどになっていた。
「すまぬぅ!政宗殿ぉっ!」
しかし幸村はくっと眉を寄せてべろりと政宗の顎を舐め、そしてさらに腰を進めた。
「Oh!・・アァ!」
それにまた感じてしまった政宗は、きゅっと自分がまたしても幸村のそれを締め付けてしまったのを悟り、そんな自分に羞恥を紛らわせるように枯れかけた声で悪態をついた。
「謝るっ・・・くらいなら・・・てめぇ・・・止まりやがれ!」
「うっ・・・しかしっ・・・某・・・!政宗殿の斯様な艶を含まれたお姿、この熱き魂の裡、身体中で感じておりますれば!止まれませぬ!止まれぬぅぅううー!」
叫びながら幸村が腰を打ち付けてくる。激しすぎるその動きと水音は益々大きくなり、熱すぎるその情動が何度目かで弾ける瞬間、竜も全てを解き放った。そして政宗は、自分の意識が混濁していくのをどうしても止める事ができなかった。
つづく |