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新幹線を含む鉄道は,摩擦が小さいゆえに省エネルギー輸送が実現できる反面,勾配に弱く,曲線では乗り心地を維持するためスピードを落とす必要があります。このため勾配や曲線など線路の規格が,最高速度や所要時間を決める上で大変重要な要素となります。
それでは,東京−札幌間を結ぶ「東北・ほっかいどう銀河新幹線」の線路規格はどのようなものでしょうか? やはり区間毎にみてみましょう。
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00000000000000 | 延長 | 計画 最高速度 (*1) |
実質 最高速度 (*2) |
標準 最急 勾配 |
標準 最急 曲線 (半径) |
縦曲線 半径 |
施工 基面 幅 |
軌道 中心間 距離 |
320km/h の場合の 所要時間 表定速度 (*4) |
300km/h の場合の 所要時間 表定速度 (*4) |
東京−大宮 | 31.3km | 110km/h | 130km/h | 25‰ | 600m | 5,000m | 11.3m | 4.0m | 約 19m 101.6km/h |
約 19m 101.6km/h |
大宮−盛岡 | 465.2km | 260km/h | 350km/h | 15‰ | 4,000m | 15,000m | 12.2m | 4.3m | 約1h38m 284.1km/h |
約1h42m 273.6km/h |
盛岡−新青森 | 178.4km | 260km/h | 350km/h | 20‰ | 4,000m | 15,000m | 11.7m | 4.3m | 約 37m 289.3km/h |
約 38m 278.0km/h |
新青森−札幌 | 360.2km | 260km/h | 350km/h | 35‰ | 6,500m (*3) |
25,000m | 11.7m | 4.3m | 約1h14m 290.1km/h |
約1h18m 276.2km/h |
(参 考) 高崎−長野 |
117.4km | 260km/h | 300km/h | 30‰ | 4,000m | 15,000m | 11.2m | 4.3m | − | 約 36m 195.7km/h |
(参 考) 東 京-新大阪 |
515.3km | 200km/h (250km/h) (*1) |
270km/h | 25‰ | 2,500m | 10,000m | 10.7m | 4.2m | − | 2h30m 206.1km/h |
(*1):路線の計画が公表された際に示された最高速度。東海道新幹線の場合,当面200km/hとし,路線選定(曲線半径等)や土木構造物は将来最高速度を引き上げても手戻りがないよう,250km/h対応と発表された。このことを当時計画に携わっていた角本良平は自著「新幹線 軌跡と展望」(1994)p.11で次のように述べている。
〜「(最高速度は250km/hの前提で計画が進められたが,)世界銀行との交渉過程において250km/時が200km/時に引き下げられた(中略)これは技術者としては残念なことで,線路の規格だけは250km/時が可能なように維持された。」〜
なお,ここに挙げた数値と実際の営業最高速度は異なる。宇都宮−盛岡間(275km/h)や東京−新大阪間(270km/h),新大阪−博多間(300km/h,計画最高速度260km/h)は計画より高くなっており,高性能軽量車両と構造物の余裕を組み合わせたスピードアップが可能であることがわかる。
(*2)現在の技術を用いて,土木構造物に手を加えずに可能な営業最高速度。但しここでは騒音問題は考慮外であり,実際には大きな制約要因となる。また土木構造物以外,すなわち軌道・電気系・信号通信系・車両などを改良することが前提で,かつ高速化に伴う経費増加も考えられる。これらの諸問題をクリアする必要があり,明日にでもこの速度での営業が可能という意味ではない。いわば土木構造物の限界を示す数値として挙げた。
(*3):実際の線路選定結果をもとにした数字(発表された値は半径4,000m)。標準最急曲線半径であり,実際にはこれより小さい半径の曲線も例外として存在する。
(*4):東京−札幌間については,500系車両を用いた最高320km/hないし300km/h運転を前提に運転曲線を描いて求めた数値。上表では秒単位の記載を省略したが,表定速度には反映している(ダイヤ上15秒単位)。なお所要時分は秒単位の査定時分に余裕率4%を見込んだ値。
高崎−長野間は最速「あさま」260km/h運転の場合(高崎通過)。
東京−新大阪間は「のぞみ」270km/h運転の場合。
なお2h30m=2時間30分のこと。