北へ! 東北&ほっかいどう銀河新幹線
・路線の概要・
    2.線路規格・構造など



 新幹線を含む鉄道は,摩擦が小さいゆえに省エネルギー輸送が実現できる反面,勾配に弱く,曲線では乗り心地を維持するためスピードを落とす必要があります。このため勾配や曲線など線路の規格が,最高速度や所要時間を決める上で大変重要な要素となります。
 それでは,東京−札幌間を結ぶ「東北・ほっかいどう銀河新幹線」の線路規格はどのようなものでしょうか? やはり区間毎にみてみましょう。

2-1. 東 京 − 大 宮
2-2. 大 宮 − 盛 岡
2-3. 盛 岡 − 新青森
2-4. 新青森 − 札 幌
00000000000000 延長 計画
最高速度
(*1)
実質
最高速度
(*2)
標準
最急
勾配
標準
最急
曲線
(半径)
縦曲線
半径
施工
基面
軌道
中心間
距離
320km/h
の場合の
所要時間
表定速度
(*4)
300km/h
の場合の
所要時間
表定速度
(*4)
東京−大宮 31.3km 110km/h 130km/h 25‰  600m 5,000m 11.3m 4.0m 約  19m
101.6km/h
約  19m
101.6km/h
大宮−盛岡 465.2km 260km/h 350km/h 15‰ 4,000m 15,000m 12.2m 4.3m 約1h38m
284.1km/h
約1h42m
273.6km/h
盛岡−新青森 178.4km 260km/h 350km/h 20‰ 4,000m 15,000m 11.7m 4.3m 約  37m
289.3km/h
約  38m
278.0km/h
新青森−札幌 360.2km 260km/h 350km/h 35‰ 6,500m
(*3)
25,000m 11.7m 4.3m 約1h14m
290.1km/h
約1h18m
276.2km/h
(参 考)
高崎−長野
117.4km 260km/h 300km/h 30‰ 4,000m 15,000m 11.2m 4.3m    − 約  36m
195.7km/h
(参 考)
東 京-新大阪
515.3km 200km/h
(250km/h)
(*1)
270km/h 25‰ 2,500m 10,000m 10.7m 4.2m   2h30m
206.1km/h

(*1):路線の計画が公表された際に示された最高速度。東海道新幹線の場合,当面200km/hとし,路線選定(曲線半径等)や土木構造物は将来最高速度を引き上げても手戻りがないよう,250km/h対応と発表された。このことを当時計画に携わっていた角本良平は自著「新幹線 軌跡と展望」(1994)p.11で次のように述べている。
〜「(最高速度は250km/hの前提で計画が進められたが,)世界銀行との交渉過程において250km/時が200km/時に引き下げられた(中略)これは技術者としては残念なことで,線路の規格だけは250km/時が可能なように維持された。」〜
 なお,ここに挙げた数値と実際の営業最高速度は異なる。宇都宮−盛岡間(275km/h)や東京−新大阪間(270km/h),新大阪−博多間(300km/h,計画最高速度260km/h)は計画より高くなっており,高性能軽量車両と構造物の余裕を組み合わせたスピードアップが可能であることがわかる。

(*2)現在の技術を用いて,土木構造物に手を加えずに可能な営業最高速度。但しここでは騒音問題は考慮外であり,実際には大きな制約要因となる。また土木構造物以外,すなわち軌道・電気系・信号通信系・車両などを改良することが前提で,かつ高速化に伴う経費増加も考えられる。これらの諸問題をクリアする必要があり,明日にでもこの速度での営業が可能という意味ではない。いわば土木構造物の限界を示す数値として挙げた。

(*3):実際の線路選定結果をもとにした数字(発表された値は半径4,000m)。標準最急曲線半径であり,実際にはこれより小さい半径の曲線も例外として存在する。

(*4):東京−札幌間については,500系車両を用いた最高320km/hないし300km/h運転を前提に運転曲線を描いて求めた数値。上表では秒単位の記載を省略したが,表定速度には反映している(ダイヤ上15秒単位)。なお所要時分は秒単位の査定時分に余裕率4%を見込んだ値。
 高崎−長野間は最速「あさま」260km/h運転の場合(高崎通過)。
 東京−新大阪間は「のぞみ」270km/h運転の場合。
 なお2h30m=2時間30分のこと。


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