むかし、ある国にちいさな王子さまがいらっしゃいました
王子さまの母ぎみは早くに亡くなり、そのおもかげを求めた王様は
毎晩のように王子さまをねどこに連れ込んでいました
やさしい王子さまはお父様のいいつけにそむくことができず、目をつぶってじっと耐えていました

そんな王子さまには、ただひとり心から敬愛するお兄様がいました
それは新しいお妃さまの連れ子である青年でした
お兄様は頭がよくもの静かで、いつも王子さまに楽しいお話をしてくれました
お父様にいやなことをされた次の日も、お兄様と話していれば気を紛らすことができたのです
しかし新しいお妃さまは王子さまのことが
邪魔でならず、殺してしまおうと考えました
そうすれば、この国の王子さまは
お妃さまのむすこであるお兄様ひとりです

「森へ連れて行って手脚を切り落とし、
 殺しておしまい」

お妃様は狩人にそう命じました

しかし、罪もない王子さまを殺すことなどできません
狩人は王子さまの手脚だけ斬ると、証拠の腕を
持ってそのまま森をあとにしました
この森には、罪を犯して国から逃げ出した七人の犯罪者たちが暮らしていました
彼らは死にかけていた王子さまを見つけると、大喜びで隠れ家へ連れ帰って
傷を手当てしました

けれど、それはけっして彼らの優しさからしたことではなかったのでした
もと医者のドクは、患者を生きたまま切り刻むのが
趣味でした

傷口にわいた蛆を一匹づつ噛み潰し、体中を
舐めて綺麗にするのは彼の役目でした


王子様に食事を与えるのは、料理人だった
スニージーの役目です

彼は殺した人の肉を料理しては
その家族や恋人に食べさせていたのでした
強盗のバッシュフルは巨体に似合わぬ
照れ屋で、王子さまの澄んだ瞳で
見つめられるのをとても恥ずかしがりました

そこで、片方の目を指でつぶしてしまいました

「何やってんだ、売り物にならなくなるだろ!?」

ドクにしかられて、バッシュフルは
すごすごと引き下がりました
麻薬常習犯のハッピーはいまでも
街へくすりの取引にでかけています

いつも薬でご機嫌なハッピーは
笑いながら王子さまのおちんちんを
切り落としました

「ほうら、おまえさんにゃ
 そんなものないほうがお似合いだよ。
 ヒャハハハハハハハァァッッ」
ちいさい子どもが好きで好きでたまらなかった
ドーピーは、手元にたくさんあったリボンの
なかからいちばんかわいいものを選ぶと
血やねとねとしたものをよく洗濯して
王子さまの伸びた髪を結ってあげました

犯罪者たちは高いお金をとって、王子さまを
お店に出しました
おおぜいの物好きな男達が、先を争って
王子さまをおもちゃにしました
なかにはとても身分の高い貴族や
聖職者すら混じっていました
まいにち男達の相手をさせられ、身も心も
くしゃくしゃになってしまった王子さまは
なにをされてもお人形のように
反応を示しません

その腕力で何人も喧嘩相手を殴り殺して来た
癇癪もちのグランピーは、ある晩
声も出さない王子さまに腹をたて
くびり殺してしまいました
死体を埋めようとする仲間達に、ドクはまあ待てといいました

そうして、とくべつな薬に王子さまの体をひたすと
ガラスでできたひつぎに納めました
ひつぎはほどなく、店にやってきた青年に途方も無い金額で買われて行きました
「あはははあははははは、かわいぃぃいねぇ。
 ああくすぐったい、うふふ、虫がいたずらを
 しているよ。
 お人形さん、きみを僕のお妃さまに
 してあげるねぇ」

王子さまの死体を買ったのは、だいすきな
お兄様でした


ガラスの義眼は涙を流すこともなく、
異常な情欲に歪むお兄様のすがたを
しずかに映していました

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