僕がふたなりだということを知っているのは 班長ひとりだけでした
班長は 誰にも話さないかわりに
毎日のように 僕をレイプしました
機嫌の悪い日は ひどく乱暴に何時間も犯され
腹がおさまるまで 殴ったり蹴ったりされました
僕の右目がよく見えないのは
あのころ たくさん殴られたせいなのかもしれません

修学旅行の船が沈んで
僕は 班長とふたりきりで無人島に流れ着きました

班長は そこでも変わりませんでしたが
他人の見ていないぶん 動物のように
一日中僕を犯しつづけたり
ささいなことで すごく怒るようになりました

きょうも 助けを呼ばなくちゃ、というと
歯がぐらぐらになるくらいまで殴られました
両親や 学校や 面倒なもののない島で
ずっと暮らしていきたいから と
班長は言いました

班長は いつもすずしい洞窟にいて
僕がどこからたべものを持ってくるのか知りません

食料の乏しいこの島で
一日捜しまわっても さかなも木の実も何もとれないとき
僕は 何度も謝りながら 
死んだクラスメイトの肉を けものの肉だと偽って持って帰ります
けれど班長は そんなときとても喜び
もっと肉をとせがむのです

僕は そのたび
泣きながらおかわりの肉を取りにいくのでした

ある日 肉の中に
たんねんに取り分けておいたはずの爪が入っていて
とうとう班長に知られてしまいました

班長は 必死に謝る僕の下着を脱がせて
首を締めながら 犯したのです
「テメェが死んだら 肉にしてやるよ」
狂おしく笑いながら 班長は言いました

班長…僕を、ころすの?

苦しくて 苦しくて
それ以上に 悲しくて

もがく僕の手が 大きな石に触れ
僕は 無我夢中のまま 
それを 班長に叩き付けていました

血と脳漿を飛び散らせて 班長は動かなくなりました

僕は 彼を殺してしまったのです

ひとりぼっちの島で
生きる意味も分らないまま 僕は
魚を採り 貝を掘り
ただ 本能的に命をつないでいました

そんなとき 僕は
まったく知らない異物感に 折角の獲物を
嘔吐してしまいました

頭を砕かれた瞬間 班長が僕の中に放った断末魔の精子は
未熟な子宮に 根を下ろしていたのでした

僕は 日に日に膨らんで行くお腹を叩き
子どもを堕ろそうと試みました

だって…どうすればいいのでしょうか?

ひとりぼっちで 何の知識もない僕が
出産などできるわけもありません

けれど どんなことをしても 赤ちゃんは流れませんでした
そのうち僕は おなかの中に かすかな胎動を感じました

赤ちゃん
あなたも生きたいんだね

そうだよね

僕は ひとりぼっちじゃないんだ

みんなの死体を食べてぷくぷくと太ったお魚
渡って来た海鳥の大きな卵
赤ちゃんに栄養をつけるため
僕はなんでも食べました

日に干されて ビーフジャーキーのようになった
友達のお肉は
とくに大事な 栄養のみなもとでした

そうして 僕は 赤ちゃんをうみました
班長によく似た りりしい男の子でした

 

あの子が寂しくないように
おおぜい弟妹をつくってあげましょう

僕は 班長の身体からはがれた皮膚を 大事に口へ入れました
あなたの細胞は 僕の血になるのです
僕の精子は あなたの精子です
僕は また あなたの赤ちゃんを みごもるのです

班長、
僕は 貴男を愛しています
今までも…これからも、かわらずに ずっと

ほんとうは
一度だけでも やさしく名前を呼んでほしかった
手を握って ただ 青い空の下を 歩いて行きたかった

 

かなわないことなら
せめて 夢の中では
笑ってくださいね。

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