うまれたあかちゃんをつれておそるおそるおうちにかえると、ママがいなくなって
いました。大事にしていたアクセサリーのはこも、キティちゃんのぬいぐるみも、
おようふくも、ママのものはみんなどこにもありません。
男の人とどこかへ行ってしまったよ、ととなりのおばさんがボクのうでにだかれた
あかちゃんをじろじろ見ながら教えてくれました。

(ママ…ママ、どうして?ボクがいらなくなったの?)

とてもかなしくて、涙がぽろぽろでてきました。
するとあかちゃんもいっしょになきだしました。
「ごめんね、だいじょうぶだから、なかないで」
ひとけのない団地のうらで、ボクはあかちゃんにおっぱいをすわせてあげました。
(あかちゃん…ボクはどこにもいかないからね…)
あかちゃんの体温と心臓のおとに、ボクのこころはすこしづつおちついていきました。

 としちゃんはつかっていないものおきをそうじして、ボクのへやをつくって
くれました。きょうからボクはとしちゃんのそばにすめるのです。
うれしいな。まるで、およめさんになったみたい。
パパとママがおでかけしている日は、としちゃんがおうちのおふろにいれてくれます。
大きなゆぶねにあかちゃんも気持ちよさそう。


「ね、そろそろなまえつけてあげようよ」
「んーと…じゃあ、ゆーいちってどうかな?」
「あ、いいねー。優しい子になってくれそう」
「ちがうよ、アマゾンたんけんするような勇敢な子になるんだって!」


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