ちいさくなるひ


>>初めに
「絵サイトに小説を送るとは良い度胸だな!!!」
 ・・・重々承知しています(ぇ)

 さてこんにちは、しがない物書きの神無月カイです。
 今回、一周年ということで(とは言え、自分はせいぜいコイサン様にお世話になって4ヶ月ほどですが)
 小説を送らさせていただきました。
 正直、『何、人様の看板娘を勝手に操っているんだ!!』とツッコまれそうだと思ったんですが、
 そこはなま暖かい目で見守って上げて下さい(ォィォィ)



 ちいさくなるひ


 ここはとある某一角。
 三人娘が一つの部屋に集まって、何気ない時間を過ごしていた。
「う〜・・・それにしても、平和すぎて何もやること無いわね・・・」
 机に突っ伏しながらボヤくのは、エナ。
「で、でも・・・平和なのは良いこと、だよ・・・?」
 その横で本を読んでいたテレアが、エナの言葉に返す。
 そして、二人の正面に座るフリルは、トランプピラミッドの最上を作りながら、
「・・・某国北とか、某国反感とか、とても平和じゃないけど・・・」
 と、ズレた答えを言う。
「ふ、フリルお姉ちゃん・・・そんなこと言っちゃダメだよ」
 言った後で止めるのも遅いと思うが、テレアはフリルに一つツッコミを入れる。
 しかし、ただそれだけ。
 後は、さっきみたいに静かで平和な時間・・・。
「はぁ・・・何か事件でも起こればなぁ・・・」
 あまりの退屈さにエナは呻きつつ、そんなことを呟く。
「あ・・・」
 その直後、フリルがエナの後ろを指さした。
「? どうしたの? フリルちゃん?」
 指を差した方に振り向く。
 そこには・・・黒いアレ。
「・・・ぁぅぁぅ・・・」
 それを見て、テレアはもの凄いスピードでフリルの方に移った。
「・・・い」
 それを正面から直視したエナ。
 カサリと音を立てたかのように、黒いアレは気持ち悪く蠢く。
 瞬間、ふぉ・・と、エナの周辺に魔力が増幅される。
 そして、
「やあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
 サザンクロス!!
 それを放った刹那、エナの意識が暗転した。

「おきなさい・・おきなさい。わたしのかわいいエナよ」
「ん〜…あと10分・・・・って、だれだぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」
 目を覚ますと、エナの目の前に小さな天使が居た。
「わたしは酷使天使エナ」
「えええええ!? アイデンティティ!? 推定わたし!?」
「あなたは、神界の掟により『無意味攻撃魔法殺傷回数100回』を超えたことによって罰則が下りました・・・」
「初耳!? つうかそんな設定ないでしょ!? それに無意味発動じゃないよね!?」
「いえ・・・あの場合、わざわざ無慈悲に殺らなくても・・・」
「なんでそんな悲しそうな目で私を見るの!?」
「というわけでエナ、わたしのかわいいエナよ」
「あ、ありがと・・・じゃない!! かわいいのなら罰則を与えるはず無いでしょ!?」
「・・・?」
「そこ!! 首を傾げない!!」
「受け入れて、くれますね・・・(はい・YES)」
「拒否権無し!? と言うかどっちも同じでしょ!?」
「判りました・・・というわけで、エナには『ちいさくなるひ』の罰則を落とします」
「えええええ!? というか、『と言うわけで』って『どう言うわけ』で!?」
「では、また会いましょう」
「汚される!? わたし汚されるの!?」

「ん・・フリルお姉ちゃん・・エナお姉ちゃん・・・・え?」
 テレアが目を覚ますと、そこには信じられない光景があった。
「・・・レム睡眠解除」
「ふ、ふふふ・・・」
「・・・麩?」
「フリルお姉ちゃん!! エナお姉ちゃんが・・・!!」
「!! ・・・これは」
 騒ぎに気付いて、目を覚ますエナ。

「ん〜・・なに?」
 そして、エナ自信も、何か違和感を覚えた。
 声が、妙に、幼い。
 魔力が、妙に、少ない。
 見下ろす。
「・・・ぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
 そこにあったのは、エナ(10歳)の姿だった!!
「え、エナお姉ちゃん!! どうしちゃったの!?」
「・・・幼女化」
「え? え? 何コレ!? なんで!?」
 この現実的でない状況に、慌てパニックになる三人。
「え、エナ・・お姉ちゃん?」
「テレアちゃん! お姉ちゃんで良いの!! むしろそう呼んで!!」
「・・・12(妹)、10(姉)の図・・・」
「そこ、変なこと言わない!!」
 ふと、『ちいさくなるひ』という言葉を思い出した。
 ・・・無意味攻撃魔法殺傷回数100回。
 ゴーンとエナの頭の中で鐘が響いて、暗くなる。
「こ、子供に・・なっちゃった・・・・・・・」


>>フリル編
 とりあえず、このままに出来るはずがない。
 我らがエナ様は、幼女化ではイケナイ。
 机を囲んで、唸る。
 しばらく三人で悩んだトコロ、フリルが挙手をした。
「・・・元に戻るのなら、牛乳」
「牛乳・・・? バニラじゃダメなの?」
 フリルの突然の意見に、テレアは妙に違う反応をする。
 バニラはアイスだ。スーパー○ップだ。
「なんで牛乳なの?」
 とりあえずアイスの話はスルーして、妙に幼い自分の声に違和感を覚えながらも、エナはフリルに聞いた。
「カルシウム摂取、早寝早起き。あとは数年ほど待てば・・・」
「意味無いじゃん!!」
 もっともな意見・・・『成長』。
 しかし、普通に元の身体に戻ら無ければ意味がない。
 数年ではさすがに遅すぎる。
「ふりだし、か・・・」


>>テレア編
「あ、そうだ」
 テレアが、ポンと手を叩いて立ち上がる。
 エナとフリルは、不思議そうに顔を見合わせる。
 そしてテレアは、奥から何かビンのようなモノを取ってきた。
「『何でも病気を治す』ってクスリ・・だよ」
「クスリ!? 薬じゃなくて!?」
「・・・ヤク?」
「え、でも・・・『痩せたり、力がみなぎったりもする』って言ってたよ・・・コレ飲めばエナお姉ちゃん治るかなって」
 テレア自身は二人が喜んで試してくれると思ったのに、反対されて、
 涙目でおろおろに成りつつも、テレアはエナにビンのクスリ(?)を勧める。
「気持ちと心配と感動はホントにありがとう!! でも、コレじゃ治らないから!! お願いだから今すぐ捨ててきて!!(血涙)」
「う、うん・・・」
 ビンを持って、テレアは外に走る。
 たぶん、三日もしない内に燃えないゴミで処分されるだろう。
「はぁ・・・コレもダメか・・・」


>>エナ編
 あれから、
 思いつく限り、全部やってみた。
 あまり意味の無さそうなことから、危険すぎる事まで(さすがに危険なことは、試す前に拒否したが)
 いつの間にか夜になって、テレアとフリルは疲れ切ったのか眠っている。
 エナは一人幼い姿のまま呆然と両手を地面について、憔悴していた。
 頭の中には、不安ばかりが通っていく。
(わたし・・・このままなのかな・・・?)
 そう思うと、胸がキリキリと切なくなる。
 フリルが初めに言ったように『成長』するのなら、まだマシだ。
 でも・・・ずっと、一生この姿のままだったら?
(それは、いや・・・)
 心に暗い影が下りる。
 絶望的だ・・・とても耐えられない。
 それに・・・この身体に慣れてしまって、私が二人に甘えるという姿は・・・絶対、嫌だ。
「はぁ・・・」
 ため息を吐いて、寝転がった。
 右を向けば、フリル・・・微笑みながら、眠っている。
 左を向けば、テレア・・・エナの腕に頬を擦りつけて眠っている。
 戻りたい。いや、戻らなければいけない。
(でも・・・そんな方法あるのかな・・・)
 その後も、あれも、これもと、いろいろ考えた。
 その内に・・・エナも眠りに落ちていった・・・。

「・・・あー!! フリルお姉ちゃん!! エナお姉ちゃんが!!」
「!? ・・・これは」
 騒ぎに気付いて、目を覚ますエナ。
「ん〜・・なに?」
 エナ自信も、何か違和感を覚えた。
 声が、妙に、年頃の少女っぽい。
 魔力が、妙に、上昇している。
 見下ろす。
「・・・ぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
「え、エナお姉ちゃん!! 元にもどれたんだ!!」
「奇跡体験・・・」
「う、うそ・・・?」
 意外にあっさりした結末に、妙に気が抜けてしまった。
 戻っている。ちゃんと元の状態に。
「成長速度ギネス更新・・・」
「元に戻っただけだから!!」
「よかった・・エナお姉ちゃんが戻ってくれて・・・」
 三人で喜ぶ中、エナはふと思い出した。
 ちいさくなる『ひ』。
 つまり、小さくなるのはその日だけだったと言うことじゃないだろうか?
(まあ・・・でも)
 小さくなって、改めて思った。
 エナがちょっと変わってしまうだけで、二人は色々と考えてくれた。
 ・・・『いまのわたし』がどれだけ大切で、どれだけ大事かを。
「あ、そういえば今日、更新されちゃうハズだよ!!」
 テレアが慌てて、思い出すように言う。
 フリルもそれに頷いて、急ぎ支度を始めた。
 エナは、二人に向かって言う。
「じゃあ、今日も頑張っていこう!!」




  あとがき

 微妙に短く、微妙な話でゴメンナサイ・・・。
 ホントは、テレア編の『ふたりになるひ』と、フリル編の『ねこになるひ』というのを用意しようと思ったのですが、

 ネタが浮かばない。

 という状態になってしまって、今に至ります・・・。
 何度も書いて申し訳ないですが、
 一周年、おめでとうございます。
 心からお祝い申し上げます。


この小説は神無月カイ様にいただきました(^^)
挿絵は勝手ながらコイサンが描きましたorz
本当にありがとうございました(^^)