...Capture II ▼
上
級
天
使
幾度となく繰り返された出会い。
―――― 出会うたびに、叱責し、励まし続ける。
どうして私は此処に在るのか ?
ただ、言葉を伝える為だっただろうか。
この手に一つ、銃を持って・・・?
繰り返される出会いに、焦る。
待つ事に、慣れてしまいそうな自分に、焦る。
早く、早く、早く・・・・・。
身を焦がす焦燥感、それさえもが、遠い。
――― ハ ヤ ク ―――
世界の凡てが狂ってしまうその前に。
私の総てが歪んでしまうその前に。
ふと、一つ、光が、灯る。
一つの命の光が、灯る。
足元を見つめ、それでいて迷うことのない足取りで、
一歩、そして、また一歩・・・・・。
真直ぐに、進んでくる、男。
黒を纏った罪人。
―――― ツ ミ ビ ト
足元を見据えたまま、何一つ其の手に持たず、
近づいてくる黒の者。
其 の 身 に 確 か な 灯 を と も し
何時まで経っても、結果が出ない。
私の思うようには動かぬ男。
常のように、叱責の言葉が脳裏に浮かぶ。
あと僅かで私の声が届く範囲に男が入る。
――――― その、一歩手前で、男は、止まった。
確りと、両の足を踏み据えて、顔を上げた。
視 線 が 合 う そ の 瞬 間
――――― 男 は 微 笑 ん だ 。 .
口 の 端 を 歪 ま せ て 。
け れ ど も 確 か に 微 笑 ん だ―――――
そして私は気付いた。
この男が今までの男と異なることに。
繰り返された出会いの中の男達と全く同じ姿で在りながら。
けれども確かに魂だけが異なる、罪びと。
言葉を失った私の手から、取りこぼされる、銃。
悠然と、其れを拾い上げた男の背を見送って、
ただ、祈った。
BAROQUE
... 歪んだ妄想
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