〜幸太郎&いづみ〜 薄明かりの部屋に甘い吐息と荒い息遣い、時折強く軋むベッドの音。 2人の重なり合う音が脳を刺激して、更に身体を熱くする。 「ぁっ・・・幸太郎・・・もうダメ・・・イっちゃう。」 「んっ・・いいよ。俺もそろそろイキそうだし・・・いづみ、好きだよ。」 「私も。好きよ、幸太郎・・・あっ・・あぁぁぁんっ!!」 「・・・んっ!」 幸太郎は最後、私の身体を強く抱きしめて律動を激しく送ってくると色っぽい息を吐きながら、暫くの静止の後ゆっくりと私の身体に覆いかぶさる。 彼の体の重みを感じながら、汗ばむ私の肌に愛しげに唇を寄せてくる彼の少しクセの入った髪を指先で梳く。 はぁ・・・高校生の男の子に恋しちゃうなんてなぁ。 全く持って自分の人生の上で予定にない事だった。 自分としては自分と同じ年かそれよりも年上と付き合うもんだとばかり思ってて。 年下だとしても1つ下か2つ下。せめて3つまでが許容範囲だと思ってた。 だけど今、こうして肌を重ねて私を夢中にさせるのは、5つも年下のしかも自分の勤める予定の高校の生徒。 ・・・・・何やってんだかなぁ。 幸太郎に夢中になってる中で、冷静に見てるもう一人の自分。 こんな事、絶対ダメよ!って冷静な自分が警告を発してるのに、夢中になってる私はそれを無視して彼を求めてしまう。 いいのかなぁ、これで。 「・・・いづみ?ぼーっとして、何考えてんの?」 暫く幸太郎の髪を弄ったままそんな事を考えてたから、彼が少し顔を上げて不思議そうに首を傾げる。 「ん?んー・・高校生の男の子と、しかも自分の勤める予定の学校の生徒と付き合ってていいのかなぁって。」 「何だよ、またその話?どうしてそう悲観的にモノを考えちゃうかなぁ。もっと楽観的に考えたらいいじゃん。こういう状況もさぁ、逆に楽しんじゃえばいいんじゃない?」 な〜んて、ニッコリ笑う幸太郎。 ホント・・・羨ましいわ、その性格。 「楽しむって、どう楽しめって言うの?私なんていつバレるかって事ばっかり考えちゃって胃が痛くなりそうなのに。」 「ぶははっ!真面目ないづみらしいね、そういうとこ。そんなに心配しなくても大丈夫だって。俺はそんなヘマはしないから・・・信じられない?俺の事。」 「・・・信じてるけどー。幸太郎ってば変に絡んできそうで・・・ほら、教育実習の時だって散々オモチャにされたし。」 「あははははっ!!あぁ、あれはすんげぇ面白かったね。っつうか、いづみがすんげぇ可愛かった。顔真っ赤にしちゃって?そのまま抱きしめちゃいたかったもん、俺。」 「だーかーらー!そういう所からバレそうで怖いって言ってるの!!」 「あぁ、ダイジョブダイジョブ。俺、基本的に先生に対してあんな態度だから誰も感付いてないって。」 ちょっとその言い方が気になって、途端に自分の声のトーンが落ちる。 私だけじゃなくて・・・ 「・・・・・他の先生にも?」 「あっ!今、ヤキモチ焼いたろ。私だけじゃなくて他の女の先生にも?って。」 ズバリ内心までも言い当てられて、意地悪く笑ってくる幸太郎を、頬を赤く染めながら軽く睨む。 「ちっ、違うわよ!誰もヤキモチなんて・・・。」 「そう?顔に書いてあるよ、私だけの幸太郎なのに。って。クスクス。心配?」 「べっ、別に。」 年下のクセに年上の女をからかうもんじゃないわよ・・・本当にそう思っちゃったけどさ。 「あぁもう、分かんないかなぁ。他の先生はタダ単に授業を面白くさせる為に弄くってるだけで、いづみの場合は愛情たっぷりに弄くってるの!授業中でも、いつでもどこでもいづみだけはカマってたい。その違い、分かる?」 ・・・・・分かるか、そんなもん!! 分からないけど・・・分かる事も幾つかある。 幸太郎が私をちゃんと見ていてくれてる事、一つ一つの仕草や言葉で私を夢中にさせていく事。 心を捉えて離してくれなくて・・・幸太郎と言う男を知るたびに溺れていく自分。 「好きなのは、いづみだけだから。」 ほら、またそうやって可愛らしい顔で私の心を掴んでくる。 そして唇を奪って、何も考えさせられなくなって夢の中へと連れて行かれてしまう。 心地よい幸太郎の肌の温もり、耳にかかって刺激される彼の熱い吐息。 彼が刺激を与えてくる度に、快感の渦へと引きずり込まれる。 まるでふわふわと夢の中にいるような、そんな心地よい空間。 あぁもう、また・・・何も考えられなくなってきた。 幸太郎の動きに合わせるように、息が上がり自分の身体が熱く火照ってくる。 こうなってしまったら・・・。 後はもう・・・彼から与えられた夢心地に酔いしれるだけ。 いいのかなぁ、これで。 いいんだよね、これで・・・だって私は幸太郎が好きなんだから。 |