〜和希&麗香〜 「和希さん、私の事好き?」 月明かりの下、ベッドの上で大好きな彼の胸元に頬をあて、トクン、トクン。と、先程まで早く打っていた鼓動が規則正しく打ち始める音を感じながら、甘えるように瞳を見つめる。 直に感じる彼の肌の温もり。 温かくて、すごく安心できる。 「さぁ・・・。」 「ん、もぅ。どうして和希さんはいっつも素直に私の事を好きって言ってくれないの?本当は好きで好きで仕方ないくせにぃ。もっと気持ちは素直に表現しなきゃダメよ。」 「何言ってんだよ、バーカ。自惚れてんじゃねぇよ。」 そんな言葉とは裏腹に、優しく私の髪を撫でる和希さんの指先。 その指先からも、すごくすごく私への想いが伝わってくる。 ホント。和希さんてば素直じゃないんだから。 本当はね、和希さんは私の事が好きで好きで仕方ないのよ? あ。和希さんが言うように、自惚れてんじゃないよ。って言いたいんでしょ。チッチッ!そんな事を思ったあなた・・・まだまだ青いわね。 この麗香様に溺れない男なんていないんだからね? こんなにも私が和希さんの事を好きなんだから、彼が私の事を好きじゃないハズがない。 これだけは自信を持って言える・・・和希さんは間違いなく私に溺れてる。 和希さんはね、恥ずかしがり屋さんなの。そう・・・上手く愛を表現できないでいるのよね。 でもね、私には彼の瞳を見れば分かってしまう。 私を見つめる熱い眼差しは、『麗香、好きだよ。』・『麗香、愛してるよ。』って、いつもそう囁いている。 自惚れなんかじゃなく、本当に。 私は、ちゅっと音を立てて和希さんの胸元に唇を当てると、再び彼の瞳を見つめる。 「私は和希さんの事、すごい好きよ?」 「・・・・・知ってる。」 「・・・・・・・・・・って、それだけ?他にいう事は?」 「別にねぇよ。」 「もう、何かあるでしょ?俺も好きだよ、とか。俺の方が好きだよとかって。もっと私を喜ばせるような言葉が出ないわけ?」 「これ以上、お前を喜ばせてどうすんだよ。さっきまで涙が出る程喜ばせてやったろ?」 「やん、もー。そういう喜ぶじゃなくて!もう、和希さんのバカ・・・『好きだよ』とかって言葉もたまには言って欲しいモノなの!」 「んな事、わざわざ口に出して言うことじゃねぇだろ。」 「言わなきゃ伝わらない事だってあるでしょう?」 「そういうのはお前が感じ取ればいいだけの話だろうが。」 「って事は、和希さんも私の事がすごい好きって事よね?だってすごく感じちゃうもん、和希さんからの熱〜い気持ち♪」 「だったらそれでいいんじゃねぇの?」 和希さんはそう言って少し口元を上げてから、私の体を反転させてベッドに組み敷く。 私の顔にかかった髪を脇によけて、頬を撫でながら暫くの間じっと瞳を見つめてくる。 いつもそう。体を重ねる前はこうやって熱い眼差しを私に向けてくれる。 ――――好きだよ、麗香。 そう言葉に出して言われてるようで、自然と自分の身体が熱くなる。 「・・・・・和希さん。」 私も彼の瞳を見つめ返し、そっと頬に手を当てる。 ゆっくりと和希さんの顔が近づいてきて、柔らかい感触が自分の唇を覆う。 濡れる唇、絡み合い行き交うお互いの舌。 求め合うようにキスを交わし、存在を確かめるように彼の手が私の身体を這う。 「はっ・・・んぁ。」 シーン。と静まり返った部屋に、再び私の甘い吐息とベッドの軋む音だけが響き始める。 いつも口が悪くて言葉は少なめだけど、ちゃんと和希さんは気持ちを伝えてくれてるの。 私の事を愛しげに見つめるその瞳で。 ――――麗香、大好きだよ。ってね。 |