〜新一&姫子〜 「姫子ぉー。さっきから本ばっか読んでんじゃねぇって。」 「んー?もうちょっと待ってって……今いい所なんだから。」 「いい所って……俺等もいい事しようぜ。ひーめーこっ♪」 「もうちょっと!!」 バイトから帰ってからずっとこの調子で、姫子は俺の横でうつ伏せになりながら俺が持ってきたマンガに没頭中。 俺はと言うと、ベッドの上にいるくせに姫子に相手にしてもらえずに手持ち無沙汰。 俺も随分と我慢強くなったよな。なんて思うと苦笑が漏れる。 調子いい時はそのまますんなりと姫子をいただけちゃったりするんだけど、こんな風に何かに没頭中の時に邪魔をすれば機嫌を損ねる上にヤらせてもらえなくなってしまう。 仕方なく自分もマンガを手に取り、パラパラとページを捲る。 ……っつうか、一度読んで先が見えてるだけに。 つまらん。 パタン。と本を閉じて脇に放り投げると、もう一度姫子の方に体を向ける。 「ひーめーこ。もう終わったかよ。」 「まーだー。」 「なげぇって……お前、読む速度遅くねぇ?」 「うっ、うるさいなぁ。じっくりきっちり読んでるの!もうちょっとだから待っててよ。」 「随分待ってっぞ?」 「……そうやって新一が話しかけてくるから倍時間がかかるの!もぅ、邪魔せんといてよぉ。」 おっつ……機嫌が若干損ない目? ぷくっと可愛らしく頬を膨らます姫子を見て、はぁ。とため息をついてからその頬を撫でる。 「つまんねぇ。」 「んー…もうちょっとだから、待ってて。ね?」 「後、何ページ?」 「……こんだけ。」 こんだけって……まだ半分もあんじゃねぇか!! マジでどんだけ時間かけて読んでんだよ。 もうちょっとじゃねぇじゃん、まだまだ先じゃん! 今まで待った時間の倍も待たなきゃなんねぇのかよ……マジで? そろそろ我慢も限界なんですけど……色んな意味で。 俺は頬を撫でていた手をそのまま滑らせて、首筋を指先で撫でる。 「あ…ん、もぅ。くすぐったい。」 「クスクス。その声たまんない。」 目線はマンガに向けたままくすぐったそうに身を捩りながら、姫子の口から俺の脳を刺激する声が出る。 首筋を辿って耳元まで走らせると、耳を覆っている姫子の綺麗な髪をかきあげて耳朶を甘噛する。 「やっん…もぅ、新一っ!!」 「あんだよ、お前はマンガ読んでたらいいだろ?俺は俺で姫子を楽しむ。」 「ちょっと…んっ!…そんな事されたら集中して読めない!!」 「大丈夫、大丈夫。気にすんな。」 「気になるっ!!」 俺を叩こうとマンガから手を離すもんだから、パタンとそれが閉じられてしまった。 「あぁぁ!閉じちゃったじゃないぃ…もぅっ!!」 慌ててそのページを開こうとする姫子の手を掴み、自分に引き寄せる。 「ちょうどいいじゃん。マンガの続きはまた後で。」 「やだ…続きが気になるもん。」 「じゃぁ気にならないようにしてやるよ。」 「あんっ…もぅ待ってってば。」 「ダメ。もう、待てねぇから。」 俺はニヤリと口元を上げると、即座に姫子の唇を塞ぐ。 何度も角度を変えて啄ばむようなキスを繰り返し、姫子の脳を犯していく。 「んっ……ぁ……んんっ。」 キスの合間に漏れ始める姫子の甘く潤った声。 随分と待ったんだから、もういいだろ? そろそろ待つのも限界なんだからよ。 姫子だってこうなっちまったらもう、待って。なんて言えないよな? |