〜*〜 Eternal Lover 〜*〜



私達はその日、日が昇るまで激しいくらいに愛し合った。



――――まるで今までの時間を埋めるかのように。



カーテン越しに、小鳥がさえずり辺りが明るくなって行くのが分かる。

私は正樹の腕の中で、呼吸が整うまでの間に軽いキスと深いキスを何度も何度も受けていた。

今まで感じた事がないくらいの幸福感と、満足感が私の中を覆う。



「沙代子…体、落ち着いた?」

「ん…落ち着いた」

「何回ヤッたっけ?」

「そんなの…数えてないよ。正樹のエッチ!」


真っ赤に頬を染めて、ぷぃ。と顔を背けると、クスクス。と笑いながら、また正樹の方に顔を向けられてキスを一つ送られる。


「沙代子となら、何度でもできそう、俺」

「私はもうできない!」

「あははっ!俺もさすがにもう無理だって。でも、すげーよ…こんなに自分がタフだったなんて驚き」

「…タフすぎる。あんっ…やんっ正樹」


恨めしそうに正樹を軽く睨むと、彼はまた唇に軽くキスをしてから、首筋や鎖骨に舌を這わせて、胸の膨らみをそっと横から掌で包み込むとキュッと軽く握って盛り上がった部分を口に含んで吸い上げる。


「その沙代子の可愛い声が聞きたいから、何度もヤリたくなんだよ」

「やんっ…もうダメだってば…それに、昼から授業あるんだよ?居眠りしちゃったらどうするの」

「いいじゃん、一日ぐらいサボっても。でも、まあ…俺達がこうなった事をヤツらに報告しなきゃなんねーしな…」

「あ……うん」



ヤツらとはそう…私の大事にしてきた『仲間』

その仲間である正樹と私がこういう関係になってしまった事を知ったら、彼らはどういう反応をするだろう。



――――仲間なんだから、そういう感情はいらないよな。



そう、合言葉のように言い合ってきた私達なのに…。

少し彼らの反応を想像して暗い気持ちになっていると、正樹が優しく私の髪を撫でてくる。



「沙代子…そんな心配になることなんてないって。案外俺達がこうなった事、祝福してくれっかもしれないだろ?」

「でも…」

「誰と恋愛しようが自由なんだぞ?俺達は仲間以前に男と女なんだ…惹かれ合って当然だろう?」



そう…私と正樹は男と女。

惹かれあうのは当然の事で。

お互いに気持ちが通じあえば、こうなる事は必然で。

それは誰にも止める権利はない。


私が正樹を好きになって、正樹もまた私を好きになってくれた事は事実なのだから…


「それに。こんな事で関係が崩れるほど、脆い仲間やってたわけじゃないだろう?」

「ん…そだね」

「だからこそ、俺は正直にあいつ等に言う。沙代子は俺の女になったってね」

「分かった…私も一緒に…」

「当たり前だろ?一緒に報告しなきゃ意味ないじゃん」

正樹はそう言って微笑むと、私の唇に軽くキスをした。






午後からの授業が始まる前に立ち寄った学食。

いつもの顔ぶれが揃うテーブルで、正樹は私と付き合う事を宣言した。

それに対しての彼らの反応は予想外にあっけないもので…



「おぉ。やっとくっついたか、お前ら」

「いつくっつくかって話してたのよねぇ。意外に時間かかったわね」

「そうそう。お似合いのカップルだよなぁって話してたんだよね…くっついてよかったじゃん?前の恋人といる時より断然幸せそうだよ、お前ら」



カナリの覚悟を決めていた私は肩透かしを食らったように正樹の隣りで目を瞬かせていた。

そんな私の様子を見て正樹は小さく笑うと、ほらな、言った通りだろ?と、耳元に囁いてくる。



うん…そうだね。

私ってば、どうしてこんなにも構えていたんだろう。

気の合う仲間…笑い合える仲間。

自分にとって居心地のいい場所…それは理解しあえる仲間だから。

こんな事で崩れるような脆い仲間じゃないよね?

やっぱり彼らは私にとっては大切な仲間に違いはない。

今改めて再確認できた。



「おぉ、お前ら。これから沙代子は俺の女だから、気安く触んなよ?」

「くっはー!言ってくれるねぇ、正樹。キザな台詞言いやがって…お前ってそんな独占欲丸出しのヤツだったんだ?新たな発見〜」

「沙代子…正樹に泣かされたらいつでも俺の胸を貸してやんぞ?」

「おい、武!余計な事言ってんじゃねーよ!!俺は沙代子を泣かすなんて事絶対ねーから、お前の胸を借りる事は絶対ねぇ!」

「あははっ!正樹ってばキャラ変わってる〜。でも沙代子、よかったわね?今、本当に幸せそうな顔になってるわよ?」


男3人がふざけあってる中、綾祢がそれに参加しながらも私に向かってコッソリと耳打ちしてくる。


…本当に幸せそうな顔。


そう改めて言われると、俄かに自分の頬が紅く染まるのがわかる。


「そ…そうかな」

「沙代子、顔が赤いぞ?すげぇ、可愛い〜♪また飲んだ時は一緒の布団で寝ようなぁ?」

「翔馬(しょうま)!!てめーさっきの俺の言葉聞いてたかよ。ぜってー触れんな…これからは武のベッドは俺と沙代子が使うから、お前ら3人で雑魚寝な!」

「ぶははっ!なに必死になってんだよ、正樹。沙代子もこれから大変だな?こ〜んな正樹に惚れられてよ」

「でもさぁ、これから益々酒の席が楽しくなりそうだよなぁ?…正樹弄り」

「あははっ!あたしもそれ、参加した〜い♪正樹弄り」

「お前ら…。あぁ、いいよ。弄られる前に酒で潰してやっから!!」

「おぉ、望むところだ。お前を酒で潰して俺と翔馬で沙代子を弄ってやっから」

「……ぶっ殺す」

「きゃははっ。おもしろ〜い!!…って言うか。沙代子ばっかり弄らないであたしも弄ってよ〜」

「じゃあ、正樹除いて4人で楽しむか?」

「てめぇらぁぁ!!!」





正樹と私は男と女。

惹かれあうのは必然で。


一夜限りだと思っていた私達のOne Night Romance−恋物語ー


思いが通じ合った今、新たな歯車が回り出す。

変わらず笑い合える仲間に見守られながら…



――――…Eternal Loverー永遠の恋ーとして。




++ FIN ++




(旧)『月夜のホタル』 朝美音柊花さまへ2万Hitお祝いに♪

H17.12.13 神楽茉莉


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