*Love Fight










クーラーが良く効いて少し肌寒いくらいの部屋。

ラジオからは軽快なリズムの音楽が流れている。あぁ、この曲とっても夏っぽいよね。

外はすっごく天気がよくて、ミーン、ミーン、と元気に鳴く蝉の声が窓を閉めていても聞こえてくる。

部屋の中には4人もいるというのに、とても静か。

カリカリカリというシャーペンが走る音だけが響く。

はぁぁ。こんな天気のいい日はどこかに遊びに行きたいなぁ・・・・・。

「・・・な。・・・美菜?」

「・・・・・はっはい!?」

「ぼ〜っとしてないで、次の問題は?早くやらないと美菜だけ終われないよ?」

「っう・・・。スミマセン。」

長瀬君がトントンと私のノートを指で叩くと急かすように言う。

数学・・・苦手なんだよぉ。因数分解?なんじゃそりゃぁ!!!

今日は夏休みの課題をみんなでやろうって話になって、丁度恵子の両親が旅行でいなくて 、柊君がお泊りしに来てるからそこに集まってやってるの。

恵子の机で柊君と恵子が。床のテーブルで私と長瀬君が勉強している。

当然頭のいい長瀬君と恵子はとっくに終わってて教える側。柊君も苦手なのは英語だけ だから、実質的に足を引っ張ってるのは他ならぬこの私・・・・・おぅ。

「だぁっ!!もうめんどくせぇっ。」

「直人っ何言ってんのよ。ちゃっちゃとやっちゃいなさいよ。もう少しじゃない。」

「日本人なんだから、日本語話せりゃいいだろぉが。もぉ眠ぃ・・・。」

・・・また古典的な事をおっしゃる。

柊君は、う〜んっと伸びをすると突然立ち上がった。

「気分転換にコンビニちょっくら行ってくるわ。」

「あっ、直人逃げる気ね!!もう、私も行くから待って。美菜とか何かいる?」

「あ、じゃあ私も行・・・・。」

行こうかな、と言うが先に長瀬君に美菜?と睨まれてしまった。

あ〜う〜・・・私も気分転換したかたのにぃ・・・・・。

私はしょんぼりうな垂れると、じゃあオレンジジュースとお菓子。と小さく呟く。

長瀬君も隣りで、俺炭酸系と注文をしていた。・・・またアバウトな。

お金を渡すときに恵子の鎖骨あたりに目が止まる。ん?あれ、恵子虫刺されかな?

「ねぇ、恵子。ここの首筋あたりどうしたの?赤くなってるよ。虫刺され?」

その問いに恵子は突然真っ赤になって私の指す部分を手で押さえると、直人!! って睨みつけてる。

「うひひっ。恵子があまりにもかわいかったからぁ。ついついねぇ。」

って、ニヤニヤ笑って柊君は答えるけど・・・はにゃ?何で柊君が関係してくるの?

私は訳が分からず首を傾げてると、とりあえず行ってくるわ。と真っ赤な顔のまま 恵子と柊君が部屋を出て行く。



バタンッ。とドアが閉まるのを待ってから、長瀬君が徐に口を開いた。

「ねぇ、美菜。あれが何だか分かってる?」

「へ?虫刺され・・・でしょ?」

長瀬君は大げさにため息をついてから、意地悪く笑うとクイっと私を抱き寄せて顔を耳元に近づける。

「わわっ!長瀬君っ何々??」

「あれね、【キスマーク】って言うんだよ?美菜、知らない?」

「へっ!キス・・・っえっ?えぇぇぇぇ!!?」

私の顔が途端に真っ赤になる。――キスマークって・・・要するに柊君と恵子が、ああなって、そうなって?へっ・・・うゎぁぁ。嘘ぉ!!

私ってば【キスマーク】って唇の形をしてるんだと思ってたよ?

ほら、口紅塗った時に紙とかにチュゥすると出来るやつ。あれだと思ってた。

え・・・あれがそうなの?うわぁっ、お大人の世界だぁぁ。

「クスクスッ。美菜にはちょっと刺激が強すぎるね。」

「いやっあの・・・え・・・うん。」

私はどう答えていいものやら困ってしまう。

刺激が強すぎると言うか・・・全然わかんないよぉ。そういう話は学校で友達とかが話してるのをたまに耳にするけれど、ちんぷんかんぷんなんだもん。

長瀬君の腕の中で真っ赤になって俯いていると、くいっと顎を持ち上げられてチュって軽くキスをされてしまった。

「俺も美菜とそうなりたいって思ってるけど?」

「へっ!?・・・あのっその私・・・。」

「クスクスッ。そんなすぐにとは言わないよ。だけどいつかはって思ってるから。美菜、覚悟はしといてね。」

「ぇ・・・・・・はっはい。」

シドロモドロな私にクスっと笑って、やっぱ美菜かわいい。と呟くと再び唇を重ねてきた。

今度は長くて優しいいつものキス。柔らかい感触が唇から伝わってくる。

長瀬君とするキスにようやく慣れてきた所なのにこの先だなんて・・・考えられないよぉ。

はぁぁぁぁ。この先一体私はどうなるのでしょうか――――誰か助けてぇ。

                                  + + To Be Continued... + +



神楽のちょこっとあとがき

きゃ〜。初々しいですなぁ。こんな子今時いるんでしょうかねぇ?(苦笑)
段階を踏んで大人になっていく美菜ちゃん!?どうなって行くんでしょう?修吾、しばしの我慢ですよ。(笑)
しかし、高2で因数分解やんのかなぁ?私商業科出だからわかんないよぉ(T-T)


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